著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
これまでいろんな会社で働いてきましたが、会社に属する形で最後にやったのが運転代行の仕事でした。
運転代行の仕事は2018年の5月から2019年の4月まで約1年間勤めました。
飲み会後のドライバーを送り届けるということで、夜中の仕事でした。
今回は運転代行の仕事がどんなものかを紹介します。
運転代行ってどんな仕事?
主に飲酒のために自分の車を運転することができなくなったお客様に代わって、お客様の車を運転するサービス業です。 通常はドライバーが2名1組となって、1名がお客様の車にお客様を乗せ、それにもう1名が運転する随伴車が追走し、 お客様を目的地までお届けした後、そのドライバーを随伴車に回収して営業所に戻る、という仕組みです。
自動車運転代行業とは 公益社団法人 全国運転代行協会
居酒屋などで飲酒したお客さんは、そのまま自分で運転すると飲酒運転になってしまいます。
そういう方のために、運転代行はお客さんの代わりに車を運転して目的地まで送るというサービスです。
お客さんを目的地まで送る時には、もう一台「随伴車」(代行車)という会社の車も使います。
- お客さんの車⇒二種免許必須。居酒屋などから飲酒したお客さんの代わりに運転して自宅などの目的地まで運転する。
- 随伴車(代行者)⇒運転代行会社の車。お客さんを目的地に送り届けるときに、お客さんの車の後ろについて走る。こちらは二種免許でなく通常の免許のみでOK。お客さんの所まで行くときも随伴車で移動。
運転代行の仕事は2人1組で行動し、二種免許を持っている人はお客さんの車を運転し、もう片方の人が随伴車を運転します。
お客さんの送迎が終わったら2人で随伴車に乗り、次のお客さんの所もしくは営業所・拠点に向かいます。
二種免許はいらない⁉運転代行に必要な資格
お客さんの車を運転する場合は二種免許必須
お客さんの車を運転する場合は二種免許が必須になります。
随伴車を運転する場合は普通の免許(一種免許)持ってれば大丈夫です。AT(オートマ車)限定免許でも大丈夫ですが、MT(マニュアル車)免許まで持っているとより安心です。
普通に教習上に通って取得するのは「一種免許」と呼ばれるもので、自家用車が運転できます。
ただしタクシーやバスなど「お客さん」を送る場合は、二種免許が必須になります。
受験資格がある
茨城県内に住所を有している
21歳以上
視力が両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上
三桿法の奥行知覚検査器により3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下
聴力は両耳で10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる
(補聴器により補われた聴力を含む)大型・中型・準中型・普通・大特免許のいずれかを取得してから3年以上の運転経歴がある
普通二種免許 茨城県警察
各都道府県ごとに条件はありますが、21歳以上で免許を取得して3年以上車の運転経験があればというところですね。
その他細かい受験資格として、以下の項目に該当する方は、受験資格がありません。
運転免許の取消処分中、又は停止処分中の方
運転免許証の取消処分を受けて、取消処分者講習を受講していない方
取消処分を受けていない方で、交通違反や交通事故で取消処分に該当する方
国際免許証による6ヶ月以上の運転の禁止処分を受けている方
無免許運転をして運転免許を取得できない期間が終わっていない方
受験資格 茨城県警察
要するに事故や違反をしていないか、その処分の期間中でなければ大丈夫です。
二種免許取得には教習所に通う必要がある
二種免許を取るためには、すでに通常の免許を持っていてももう一度教習所に通う必要があります。
免許の種類や地域差などもありますが、おおよそ20万円以上と一種免許と同じかそれ以上のお金がかかります。
教習の流れも一種と変わらないので、二種取得にはお金と時間もそれなりに必要になってきます。
会社によっては二種免許のお金を出してくれることもありますので要確認。
補助があるかどうかは求人票に書かれていることが多いです。
逆に言えば運転免許以外に資格らしい資格は要らない、言い変えれば特に専門性は要求されない点では応募のハードルは割と低いです。
運転代行の大まかな労働条件
勤務時間。夜中の仕事のため深夜が多い
会社により多少変動はありますが、19時~4時の間で募集している所がほとんどですね。
夜間の時間帯なので、朝方の生活リズムでいくと少しキツイです。
昼間に本業の仕事をやって、夜にこの運転代行のバイトを副業としてやるというパターンもあります。
僕のいた所も、昼間土木系の仕事をして夜運転代行という方はいましたね。
給料。日給制が多い
アルバイトといえど、日給制を採用している所がほとんどです。
額はピンキリですが、他の業種と比べて特に給料が良いというわけでもないので、この点はさほど期待しない方が良いですね。
ただ、二種免許を保有している方が給料は高めに設定されています。
時給制はごく一部な印象ですね。時給の額だけで言うとそこまで高くはありませんが、売上に応じて少しボーナスがつく場合もあります。僕の時は金曜日が週末前なのもあり、通常の3~5割くらい上乗せされることが多かったです。
あとは会社によっては売上によって日給の額にプラスされる場合もあります。
日給は月収については会社によってまちまちですが、僕の場合は週5(平日)と週3(月、水、金)で勤めていた時期があり、
- 週3→月収4~5万円
- 週5→月収6~7万円
※売り上げにより多少の変動はある
という感じでした。
ただし、額だけ見れば大手の方が条件は良いので場合によってはもう少し額が高くなる場合もあります。
また僕は一種免許しか持ってなかったので、二種免許を持っている場合はさらにプラスされます。
運転代行会社の労働条件と給与の相場
ここまでの勤務時間や給料のシステムをふまえて、茨城県内の運転代行の業者について実際に調べてまとめました。
2020年1月19日に追記。
この日の段階で茨城県内の最低賃金(時給)は『849円』です。
第一種免許の場合
運転代行の会社により時間が異なるため、単純比較はできませんが日給でいうと5000~6000円くらいが相場という印象です。
ただし、これに歩合が少なからずついてくるので売り上げによってはもう少し給料が上がることもあります。
実際に働いた上での感覚ですが、2,3割上乗せされるイメージです。
歩合の額、割合は会社によって変わる。
第二種免許の場合
『二種免許』という資格と持っていて、お客さんの車を運転するのもあって一種免許より給料は高めに設定されています。
また多くの会社がWワーク可としているため、昼間は本業の会社で働き、夜に運転代行を『副業』としてやっている人もいます。
僕が勤務してたところでもやはりWワークとして運転代行をやっている方はいました。
こちらも単純比較はできませんが、日給にして7000~8000円が相場のようですね。
ただし、こちらも歩合が加わるので同じく2,3割くらい上乗せされる場合もあります。
運転代行のメリット(+裏話)
経験者か未経験者かはあまり問われない
もちろん経験者であることに越したことはないですが、未経験だから採用されにくくなるというのはそれほどありません。
僕が勤務していたところも、大半は未経験者でした。
求人雑誌やサイトなどで掲載されている求人を見ても、未経験者歓迎は意外と多いです。
ただタクシーなど運転手の職種などを経験している方は優遇されますし、かなりやりやすい仕事かと思います。
ちなみに採用、雇用形態は正社員の採用もありますが、契約社員やアルバイト・パートのほうが多いです。
昼間は本業をやっていて、夜に運転代行をダブルワークとしてやっている人が多いですね。
運転がメインなのでさほど難しくはない
基本的に待ち時間を除けば、お客さんの車もしくは随伴車を運転している時間がほとんどなので、車の運転が問題なくできるようであれば難しい仕事ではありません。
もちろんお客さんあっての仕事なので、接客っぽい要素もありますがそこまでかしこまる必要もないので大丈夫です。
僕は普段から車を運転してたので、けっこうやりやすかったです。
ただ自分の車はフィットですが、随伴車が軽自動車だったのでそこに慣れるのに少し時間は要しました。
運転以外でやることとしても、
- お客さんからお金を受け取る
- お客さんもしくは会社からの電話対応
くらいなので、特に専門的な何かというのはないです。
極論、ちゃんと車の運転ができればさほど問題はないです。
シフトの融通が利きやすい
運転代行の求人を見てるとほとんど毎日がっつり入らなければいけない所って意外となく、週2,3回とかでも問題ない会社が多いです。
そのため副業としては、やりやすい方といえます。
休みは会社によって異なりますが、僕が働いてた会社は日曜日は定休日でした。
僕個人のシフトとしては土日休みでしたが、特に日曜日は翌日仕事の方が多いのもあり居酒屋などにもそれほどお客さんは入らないそうです。
常連と仲良くなると楽しい
僕が勤めていたところは常連の方の利用が多くすぐ仲良くなりました。
たまにチップをくれることもありますし、夜食といって何か奢ってくれたりもしました。
運転代行を利用する方の中には社長とかも意外といたりします。
それ抜きにしても、お酒が入ってると良い感じのテンションになってることもあり話してて楽しかったですね。
また常連客と同時に常連の飲食店もおさえておくと、飲酒したお客さんで代行希望の方がいれば決まって依頼してくれるようになるので、売り上げにも結びつきやすいです。
道に詳しくなる
運転代行という仕事柄、普段行かないような地域にも行きますし、自分の家から近場でも割と普段通らない道を使うことも多々あります。
いろんな道を使うので、地域の地理により詳しくなります。
さらに場合によっては普段のドライブで渋滞に巻きこまれても、代行で使った道であれば迂回路として使えて渋滞を回避できるという技もあります。
もちろん、一方通行や車両進入禁止のエリアはダメですよ。
運転代行のデメリット
酔っ払い相手が面倒なときもある
あるとしてもかなり稀ですが、ものすごく泥酔しているお客さんが相手だといろいろ面倒です(笑)
うちの会社ではなかったですけど、変に絡まれるなんてこともあるそうです。
そのため非常に稀ですが、あまりにヒドイ客だと電話があっても取らないこともあります。
聞いた話ですが、吐いたり客に殴られるなどがあるそうです。
ただ会社によっては常連が多い所もあるので、そういう所だとかなりやりやすいです。
交通事故に注意
お客さんの車にしても随伴車にしても、車を運転する以上は交通事故には細心の注意を払わなければいけません。
特に二種免許を持っていてお客さんの車を運転していて事故を起こすと、かなり面倒ですからね。弁償とか。
ちなみに運転代行の業者は国土交通省が定めた保険や共済に加入することが義務付けられており、人が亡くなるなどよほどの事故でなければ、お客さんから多額のお金を請求されることはありません。
さらに一部の運転代行業者は全国運転代行協会や外部の有識者による審査を経て、「優良運転代行業者」の認定を受けています。
有料運転代行業者に認定されていれば万が一の事故の保険や会社としてもしっかりしてるので、ハズレの確率もかなり低いです。
夜だからか運手マナーの悪い車も昼より多い印象ですね。僕も普通に走ってて煽られたことはあるので、周りの車の動きにも気をつけましょう。
真夜中の仕事なので疲れる
運転代行の仕事で最も特徴的なのが、仕事の時間帯が真夜中ということ。
会社によっては朝4時や5時と夜が明けるくらいの時間帯まで仕事をすることもあり、昼夜逆転に近いような感じにもなります。
特に昼間本業をやって副業でやる方は、かなり負担が大きいので体調管理をしっかりしましょう。
繫忙期と閑散期の差がある
運転代行の仕事はお客さんが居酒屋などでお酒を飲まないとそもそも仕事が発生しません。
そのため運転代行の仕事が忙しいかどうかは、居酒屋などの状況にもよります。
実は時期などによって忙しさに差があり、主に忙しくなるのは
- 金曜日と土曜日
- クリスマス、年末年始(忘年会や新年会)
- 3月(企業などの歓送迎会)
このあたりは、特に忙しくなります。
忙しい時は営業所や待機場所に行く暇もないくらい、次から次へとお客さんが来たり、駅前などで待機(路駐OKな所で)していてもお客さんの方から声をかけられることもあります。
数時間休憩なしで、ひたすら仕事という状態もよくありました。
例えば水戸で言うと水戸駅南口の方は居酒屋がいっぱいあり、その近辺は深夜になると運転代行の車があちこちで客待ちをしていることもあります。
基本的に代行側から道行く人に声をかけることはないので、声かけて別のお客さんを待っているとかでなければ対応できます。
ちなみに、閑散期であったとしても最低限定められている給料はもらえるのでそこはご安心ください。
女性の方は少し注意
運転代行の仕事をしている人もそうですし、お客さん含めてもそうですが圧倒的に男性が多いです。
特にお客さん(中高年男性が多い)に絡まれた場合に送迎のドライバーが女性だと少し怖い部分もあります。
この点があるためか女性のドライバーは少なく、40代以上、シニア世代の方の勤務が大多数ですね。
他の代行を観察してても、女性ドライバーはかなり珍しく感じました。
もちろん女性の方が全くいないわけではないですが、女性で運転代行をお考えの方は頭に入れてもらえればと思います。
運転代行は特殊だけどそこまでスキルを求められない点はやりやすい
運転代行のメリット
- 通常の運転免許(一種)だけでも大丈夫
- 運転メインなので仕事そのものは難しくない
- 給料は日給制が多く、売上に応じてプラスされることもある
- シフトの融通が利きやすい
運転代行のデメリット
- お客さんの車を運転する場合は二種免許が必須
- 勤務時間は夜で、夜明けまでかかることもある
- 交通事故に注意
- 相手がすごく酔っていると面倒な場合も
車の運転ができればそれほど難しくない仕事である一方で、時に酔っ払いや交通事故に注意しなければならない仕事でもあります。
逆に言えば車の運転ができれば、他に特別なスキルはなくても大丈夫ですし、働いている人の年齢層も高いので応募~入社までのハードルは低いとも言えます。
「自分にはスキル(専門性)がない!」とお悩みの方にはうってつけの仕事です。