著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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僕は塾講師から農業へ転職しましたが、転職をするにあたって不安なことがありました。
- 塾講師から異業種への転職が極端に少ない(そのため情報も少ない)
- 塾講師でやってきた仕事、得たスキルを次の仕事にどう生かすか分からない
僕も塾講師を辞めて転職するときは『異業種へ転職する』のは決めていましたが、実は塾講師は他の業界と比べても異業種への転職例がかなり少ないです。
その理由の一つとして『つぶしがきかない』(塾講師の仕事は異業種では使えないものが多い)と言われてること。
とは言いつつ、僕は情報収集には苦労しましたが塾講師から農業という特殊ですが異業種への転職ができました。
今回の記事では当時の僕の苦労も踏まえて、
をまとめました。
塾講師から異業種への転職お考えの方に少しでも参考になればと思います。
塾講師は同業種(同業他社)への転職が圧倒的に多い
塾講師の転職で大きな特徴は『圧倒的に同業他社への転職が多い』ということ。
僕がいた塾も中途採用で入社する方が毎年いましたが、僕がいた頃は全員他の塾から転職してきた方でした。
逆に僕ふくめて退職・転職した方もいましたが、僕以外は全員同業他社へ転職するか独立して塾を開業したかのどちらかでした。
僕は塾講師から異業種の農業に転職しましたが、塾講師から異業種の転職は非常にレアケースらしいです。
特に僕が会社を辞めようと決意した2015年ごろは塾講師から異業種への情報もほぼ皆無で情報収集にもかなり苦労しました。
個人的に塾講師から異業種へ転職した方はほとんど聞いたことないです。
ちなみに当時お世話になったジョブカフェやハローワークの職員に言われましたが、特に異業種への転職は『20代のうちに』やらないといけないそうです。
30代になると異業種への転職はハードルがかなり上がるそうです。
塾講師がつぶしがきかないと言われる理由
塾講師から特に異業種への転職でまずネックなのが、『塾講師の仕事を他業界でどう生かすかのイメージが湧きづらいこと』。
塾講師の場合、どうしても『授業』に関する仕事が多いですが、授業は他業界ですることはほとんどありません。
セミナー講師などの講師系や教える仕事にはそのまま使えそう。
そのため塾講師の仕事内容をそのまま他業界で活かそうとすると難しいですが、例えば「面談」や「生徒募集」あたりはコンサル、人材育成、マーケティングと置き換えることも可能だと思います。
一般的な企業だと「取引先」「外回り」という言葉もある通り、他の会社などに営業に行くなどで会社外の人との接点がそれなりにあります。
僕も塾講師の前に建設会社の事務をやったこともありますが、他の会社の人が来社してやり取りをしたこともありました。
一方で塾講師の場合は社内の人以外で接点は、
- 生徒
- 保護者(授業の前後でたまに)
- 高校の先生(年に数回)
- 業者テスト(年に数回)
となり、一般企業と比べると社外の人と接する機会が少ないですし、幅も狭いです。
日常的に接するとなると生徒くらいですからね。
(保護者は授業の前後にたまに。そのほか面談、説明会など)
特に生徒とのコミュニケーションが圧倒的に多いのを考えると、大人とのコミュニケーションが意外と少ないとも言えます。
一般企業では取引先など大人とのコミュニケーションが当たり前にあるため、採用する企業からすると塾講師からの転職者は「コミュニケーションに難あり」と思われることもあるようです。
塾講師というと『教員免許』を思い浮かべる人も多いみたいですが、実は塾講師は教員免許がなくてもなれます。
実際僕も教員免許を持ってないですし、教育実習は未経験、教育学部出身ですらありません。
そのため、塾講師になるにあたって必須な資格などはありません。
強いて言えば大卒以上の学歴くらい。
同時に塾講師の仕事をする中で資格が必要になるシチュエーションもないため、特に資格を得ることもなくそのまま年数を重ねることがほとんどです。
例えば事務系の仕事でパソコン系の資格を取ると業界関係なく使えることもありますが、塾講師は他の業界で使える点を見出すのが難しいです。
資格がすべてとは言わないまでも、少なくとも授業をこなしていれば一応は乗り切れる部分もあるので、惰性で仕事を続けてしまう部分もあります。(僕もそうでした)
塾講師の転職先(実例+推測)
僕の知人の情報によると、塾講師から公務員に転職した方はいるようです。
塾講師はテキスト作成などパソコンを使った事務仕事も意外とありますが、公務員も特に市役所や県庁の事務で採用されると引き続き事務系の仕事が多いです。
その点では塾講師時代の仕事をそのまま続けるととることもできますね。
加えて公務員は「公務員試験」があります。
1次試験と2次試験があり、特に1次試験は膨大な量の筆記試験になっています。
高校で勉強する内容+αです。数的処理などは解答に時間がかかるので、早く正確に解く練習が必要です。繰り返しが重要といえます。なお、民間の就活で必要な筆記試験(SPI3・一般常識など)の対策にもなるので、民間との併願を考える場合も、これらの学習は一石二鳥です。
教養択一(基礎能力)試験|資格の学校TAC
大学で勉強する内容(行政職でいえば法律系・経済系・政治系など)からの出題になります。国家公務員や大きな自治体の試験でよく課せられます。科目ごとの出題数は多くありませんが、勉強範囲が広いので独学で網羅するのは難しいといえます。学部を気にする方もいますが、「大学でしっかりと勉強していれば少しは有利かな…」という程度ですから、文学部や理系学部などに在籍していて勉強したことがないという方でも問題はありません。 自治体により各科目の出題数や傾向が異なるので、必ず自分の受験する試験種に必要な科目を確認するようにして下さい。
専門択一試験 |資格の学校TAC
実は僕も大学生のときに公務員を目指していて、大学で開催された公務員試験対策の講座を受講していました。
当時感じたのがとにかく『出題範囲が広い』こと。
一般常識のようなオーソドックスな問題から数的処理のような少し頭を使う問題まで幅広く出題されるので、広い範囲に渡っての勉強が必要になります。
科目で言えば大学受験で扱う科目は一通りカバーしているイメージです。
ある程度の学力は要求される点では、勉強に慣れている塾講師にとって公務員試験のハードルもいくらかは下がると思われます。
教育という意味ではある意味同業者になりそうですが、塾講師を辞めて教員になる方も多い印象です。
塾講師になるにあたって教員免許は必須ではないですが、業界としては教員免許を持ってる人が多いですし塾によっては採用にあたって教員免許の所持者を優遇する場合もあります。
僕がいた塾は、社員の半数以上が教員免許を所持。
僕は教員免許どころか教育学部すら出てないので、僕みたいな人は少数派でした。
そのため塾講師になった時点で、教員になるための基盤もある程度整っているとも言えます。
塾講師は『勉強』以外のことにはあまり関与しませんが、教員は勉強はもちろん生徒指導や部活動など勉強以外のことも包括的に関わります。
同じ教育業界という点では、ある程度仕事内容も似通っているので塾講師から教員になってもスムーズに仕事に入れそうですね。
教員から塾講師になったという話も聞くので、塾講師と教員は仕事としてはかなり近いものがありますね。
これは僕の話で、実際に僕は塾講師から農業へ転職しました。
塾講師から農業への転職自体は超レアケースですが、なぜ僕が農業に転職できたかというと農業業界の人材不足に加えて僕が大学で農業を専攻していたのも大きいです。(大学農学部出身)
塾講師を辞めたのが27歳と大学卒業から5年のブランクはあったとはいえ、20代であれば伸びしろに加えて大学で学んだ知識や選考内容もそれなりに考慮・評価されました。
30代以降では厳しいかもしれませんが、20代での転職であれば大学の専攻内容をベースに転職先を検討するのもアリと考えられます。
大学卒業からのブランクを考えると20代のうちの転職が吉。
一般的に30代に突入すると、特に異業種への転職のハードルは一気に上がる印象です。
細かいところは業種にもよりますが、事務系の仕事も塾講師の経験は活かせると思います。
塾講師は、テキスト作成でWordは必ず使いますし教室の事務管理などでExcelを使うこともあります。
そのためパソコン慣れしている点では、事務系の仕事へのハードルも下がると考えられます。
ただし、ネックな点として
- 事務職の競争率は高い傾向にある
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)など事務特有の資格を持ってる方が有利なことが多いので、資格は取っておいた方が良い
- ただし塾講師は休みが少ないかつ平日休みなこともあるため、土日に多い資格試験を受けるのがそもそも難しい
があります。
事務職は年齢や業種を問わず人気なため、差別化を図る意味でもスキルのアピールや資格取得は必須になってきます。
事務職への転職を考えている場合は、パソコン・事務関連の資格をとっておきましょう。
ただし塾講師は休みが少なく、かつ資格試験と日程を合わせるのがかなり難しいので資格取得はよく調べ計画的に。
事務職は競争率がかなり高いので、資格を取ったりスキルをアピールするなど『差別化』は必須です。
特に集団授業を担当してた塾講師だと、生徒の前に立って授業を行うなどで、ある程度喋りの上手さは備わっていることが多いです。
また喋りが上手いとは言わずとも、面談などを通じて生徒や保護者との信頼関係を築くことも重要になってきます。
その点で塾講師は『目の前の人に寄り添う仕事』とも言えます。
そのため、営業と言っても飛び込み営業など「数をこなす」「売り上げ重視」よりも『一人一人とじっくり向き合う要素が強い営業』の方が塾講師経由だとやりやすいと考えられます。
ちなみに僕の上司が保険の営業から塾講師に転職した人でした。
塾講師と営業は親和性がある?
塾講師はつぶしがきかないと言うけどできることはある
- 塾講師は同業他社への転職が圧倒的に多い
- 授業など塾講師としての仕事をダイレクトに異業種の仕事で活かすのは難しい
- 外部の人との接点が少ない閉鎖的な環境で、特に資格取得などもないのでスキルアップが他業界より難しい
- テキスト作成などで事務的な仕事が多いのを考えると、公務員(事務職)や一般事務はWord、Excelのスキルを活かしやすい(ただし事務職は全般的に競争率が高い)
- 教員への転職もあり、塾講師としての仕事をダイレクトに活用できる数少ない仕事
- 20代で大学卒業から時間が経ってなければ、大学の専攻に応じた転職も可能
(例:農学部だった僕は農業へ転職しました) - 30代になると異業種へのハードルが上がり、異業種への転職は非常に少なくなる。塾講師から異業種への転職は20代のうちがオススメ
塾講師は『つぶしがきかない』と言われたり、実際異業種への転職も非常に少なかったりします。
一方で塾業界はいわゆる『ブラック企業』も多く、僕のように「ブラックな環境は嫌だから異業種に行きたい!」と思っている方もそれなりにいると思います。
塾講師の仕事をそのまま生かそうとすると難しいですが、授業やテキスト作成などで培った『スキルを活かす』と考えると、塾講師としての仕事も意外と他の業界でも役に立つと思います。
塾講師から異業種への転職をお考えの方は、自分がこれまでにやってきた仕事を改めて考えてみましょう。