著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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ブラック企業はすぐに辞めた方がいいです。
やってることが違法ですし、労働者にとっても心身に悪影響がありますからね。ただ、僕もそうでしたがブラック企業とは家ども会社なので辞めるのにはちょっとハードルが高いと感じてしまうこともあります。
外から見てる分には「そんな職場辞めればいいのに」と思うブラック企業。なぜ辞められないのか経験者の目線も含めて解説しました。
ブラック企業でも辞めるハードルは意外と高い感じはする
僕自身、いろんなブラック企業に勤めていましたが辞める上での心理的なハードルはかなり高い感じがしました。慢性的に体調を崩して生活や業務に支障が出るレベルだったり、メンタルもほぼ鬱レベルであっても辞めようという発想は当初は意外とありませんでした。
今も知人の相談やSNSでブラック企業に勤めている最中の人を見るたびに「辞めればいいのに…」と思うことも正直ありますが、当事者からすると疲弊しきるなどで身体的・精神的に動き出しづらい状態になっていることも多いです。
ブラック企業を辞められない理由
ブラック企業をおかしいと思わず思考停止状態になる
ブラック企業に長期間勤務していると、劣悪な環境や理不尽な対応が日常化し、それをおかしいと感じなくなることがあります。パワハラや過重労働が当たり前になると、それらが違法であるという問題を意識する力が鈍化し、自分が被害者であることに気づきにくくなるのです。実は僕も当時勤めていた会社をブラック企業という認識は意外となく、友人に指摘されて初めて時間したくらいでした。
このような思考停止状態は、長時間の疲労や職場文化による心理的抑圧が原因となり、辞めたり訴えたりなどの自発的な行動を阻害します。
辞めたい気持ちと辞めたくない気持ちの葛藤
ブラック企業に勤める多くの人は、辞めたい気持ちと辞めたくない気持ちの間で葛藤します。現職への不満がある一方で、辞めて新しい職場が見つかるかの不安が強かったり、辞めようとして同僚や上司などからの報復・嫌がらせなどを想像してしまい行動に移せないのです。
この葛藤は、「今の職場が悪くても他でやっていける保証がない」という不安感から来ることが多く、心理的に大きな負担をもたらします。
職場に退職を申し出る心理的ハードルの高さ
ブラック企業では、退職を申し出ること自体が難しい場合があります。特に人事部など何らかの窓口があることが多い大手企業に対し、中小・零細企業になるとそもそも人事部やそれに準する部署や担当がいないためそもそも退職の手続きの形自体が伴ってないことも多いです。
さらに退職の意思を申し出たとしても、上司や経営者からの引き止めや退職理由を執拗に問い詰められるなど、心理的にプレッシャーがかかることも考えられます。さらに職場内の人間関係を考慮し、辞めることで周囲に迷惑をかけるという罪悪感を抱き辞められないというケースもあります。
僕も塾講師時代に辞めようとは思いつつ、ギリギリの人数でやっているのはわかっていたので自分が辞めたら他の人の負担がより増えると当時は思いました。そのため辞めようと思ってから実際に辞めるまで約2年かかりました。
ただし社員の負担を考える、考慮するのは本来社員ではなく会社側(経営者)の仕事なので、本来社員がこの点を心配すること自体が違うんですよね。
僕が辞めたブラック企業も数年~10年たっても健在なので、自分一人辞めたところでなんてことないです。むしろ一人辞めたくらいでぐらつくような会社は遅かれ早かれ倒産します。
金銭面など退職後の生活への不安
「会社を辞めていない、辞められない理由を教えてください」という質問には、「転職活動が不安」(41.7%)、「生活が困窮する」(38.9%)という回答のほか、第3位「家族を不安にさせる」(19.9%)、第4位「同僚や関係者に迷惑が掛かる」(17.6%)といった理由が続きました。「辞めると言い出すのが怖い」(16.8%)という回答もありました。
「ブラック企業」辞められない理由ランキング 「家族を不安にさせる」「生活が困窮する」を超えた1位は?|神戸新聞
神戸新聞の調査では会社(ブラック企業)を辞めない理由の上位が転職活動や生活の困窮と辞めた後のことに焦点が当たっている印象を持ちました。
特に20代のうちは貯金も少なく、退職後の生活費など金銭的な不安は退職の大きな障壁となります。さらに奨学金やローン返済などがある場合、定職を失うリスクを避けようとする傾向が強まります。
ただ失業保険が天引きされていた会社は退職後は「失業手当」の給付があり社の給料の半分以上が最低3か月給付されたり、奨学金の返還がある方も手続きを踏むことで月々の返還額の減額や返還そのものを一時的に止めることも可能です。金銭面の不安が大きい退職ですが、手続きを踏むことで負担を減らせるケースも意外と多いです。
また、退職が頭をよぎった段階でいつ辞めても大丈夫なように貯金を頑張っておくのもオススメです。
僕は2年分くらいの生活費を貯めた上で辞めました。辞めた後のイメージがわけばブラック企業も辞めやすいです。
疲弊しきることによる自己肯定感の低下
ブラック企業で働き続けると、過労や精神的ストレスにより自己肯定感が著しく低下します。「自分はこの仕事しかできない」「他で通用しない」といったネガティブな思考に陥り、転職や退職の選択肢を否定するようになります。
このような状態では、自ら環境を変える力を失い、現状に甘んじてしまうことがあります。個人的な経験上、ブラック企業を辞められない人の話を聞いていても「今さら他社に転職しても通用しない(遅い)」みたいなことはよく言われました。
相談相手の不足や選定
ブラック企業に勤めていると職場外での人とのつながりが薄れやすく相談相手がいない場合が多いです。また、相談相手を選ぶ際にも、「相談しても解決できないのでは」と思い込み、行動に移せないことがあります。適切な支援を受けられないまま、状況を打破する機会を逃してしまうのです。
僕の場合は「高校の先輩」「高校の先生」を頼りました。転職経験が豊富だったり、キャリアに関する知識もある方々だったので非常に頼りになりました。法律など専門的なことは弁護士や労働組合などの専門家を頼るとして、転職・退職の是非などに関しては友人でも意外と頼れることもあります。
少なくとも社内の人だと「辞めたいのかな?」と勘づかれてしまうことも多いため、せめて社外の人を頼るようにしましょう。
転職知識不足・「他に選択肢がない」という思い込み
特に退職・転職の経験がない人は、退職の仕方や転職活動の流れなどの知識に欠けていることが多いです。
転職に関する情報収集をしていない、もしくは方法を知らない人は「他に働ける場所がない」と思い込む傾向があります。特にブラック企業に勤めていると、仕事を続けながら転職活動を行う時間やエネルギーが不足しがちです。このような知識不足や行動の遅れが、退職を先延ばしにする要因となります。
昔はとにかく今は退職や転職も割と一般的になってきていて、ネットでちょっと調べるだけでもたくさんの情報が出てきます。まずは知人で転職経験のある人に話を聞いても良いかもしれません。
ブラック企業を辞めるためにやっておいた方がいいこと
少しでも体調を維持する
身体やメンタルが疲弊するとそれだけネガティブになりがちで、ブラック企業から抜け出そうという気持ちもなくなったり、アクションも起こせなくなります。
そのためにも少しでも疲れをとるなど体調を維持したり、時間のある時に病院に行って適切な治療を受けるなどしましょう。特に胃が痛い、常に気持ちが沈んでいるなど明確に症状が出ている場合は早めに病院に行くのも重要です。
例えば僕は23歳で胃腸炎、過敏性腸症候群を発症してしまいましたが、ブラック企業で我慢しすぎたおかげで30代半ばになった今でも胃腸が弱いなど後遺症的なものが残ってしまっています。
20代で無理をし過ぎると、30代以降に影響が出てきます。
退職や転職活動の流れを知る
僕もそうでしたが、ブラック企業を辞められない大きな理由の一つが「辞めた後の生活への不安」。言い換えれば「辞めたらどうなるかイメージがわかない」ことだと考えられます。
退職や転職活動の情報は年々増えているので、調べれば無数に情報は出てきます。
ちなみに僕の場合は、水戸のジョブカフェに行ってきました。まだ塾を辞める前でしたが会社の現状等を話したら意外とすんなり転職活動の話や求人の紹介などをしてくれたので、その後の流れもスムーズに進みました。最近では転職サイトや転職エージェントも増えていますが、然るべきところに頼れば案外転職活動の情報は簡単に得られます。
辞めても大丈夫なように生活の基盤を整える
金銭面もブラック企業を辞める上でのハードルの1つです。ブラック企業とは言え辞めたら収入がなくなるので、生活にも直接影響が出ますからね。
もちろんブラック企業に在籍しながら転職活動もやって、次の職を決めたうえで退職するのが一番いいですが、ブラック企業にいると時間的・体力的な面で非常に難しいです。そのため、多少なりとも無職の期間は発生するものと割り切って、無職の期間を乗り切るだけの貯金をしておくのをオススメします。
僕の場合は塾を辞める際になんとなく「2年くらい無職でも大丈夫なくらい貯めよう」と思い立ち、自分で算出した生活費2年分を貯めたうえで辞めました。
また正社員だった場合は、退職後に失業手当の対象になることも多いため、会社を辞めたとしても失業手当で多少お金が入る場合もあります。会社を辞めると金銭面の不安も発生しやすいですが、あらかじめ戦略を立てることでリスクも最小限にしやすいです。
まとめ
- ブラック企業を辞めるハードルは意外と高いと感じることもある
- 長時間労働などで疲弊すると思考停止して、ブラック企業をおかしいと思わなくなる
- 退職を伝える心理的ハードルが高い場合もある
- 金銭面など退職後への不安が退職の懸念点になる場合もある
- 退職、転職相談相手は社内の人より友人や専門家など社外の人にしよう
- 今は退職・転職は珍しくない。情報は意外とある
ブラック企業はすぐに辞めた方がいいですが、いざ辞めるとなるとハードルが高いと感じる部分もあるかもしれません。ただ我慢して長居することで心身に悪影響が出たり、考え方自体も歪んでしまって辞めるに辞められなくなってしまいます。
金銭面など辞めることによるリスクはもちろんありますが、それ以上に辞めないことで体調やメンタルが取り返しのつかないレベルまで悪化するリスクの方が圧倒的に大きいです。最悪のケースとして自殺や障害、後遺症などにもつながりますからね。
ブラック企業で散々嫌な目に遭っているので、辞めたところでそれ以上悪くなる方が難しいです。ポイントやコツを押さえつつ辞めましょう。