著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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僕は元塾講師で4年間正社員として働いていました。
これまでTwitterやブログでも触れてきましたが、改めて考えてもやはりブラック企業でした。
今回の記事では改めて塾のブラック企業だと思ったところをまとめてみました。
僕の会社もそうですが、塾業界全体としてもこのような傾向はあると考えられます。
僕がいた会社に限らないですが、塾講師は基本的に労働時間が長い傾向にあります。
- イレギュラーな保護者対応
(相談、面談など) - そもそもの仕事量が多い
(授業から事務作業まで全部やる) - 特に夏期講習など講習中は朝から夜までずっと授業
会社にもよりますが塾の場合、特に大手以外は講師が授業はもちろん事務的な物まで全部やることが多いです。
大手の塾だと『講師』『マネージャー』『事務』と明確に分けていたので羨ましく思うこともありました。
僕がいた塾も講師が事務的なこと授業、教室の管理などあらゆることをやっていたので仕事量がそもそも多かったです。
社長が「仕事が多いのが正義!」みたいなタイプでムダな仕事も多く、仕事量はとにかく多かったです。
ちなみに長時間労働のリスクについてはWHOの研究結果もあります。
この研究では、週に55時間以上働くと、週に35〜40時間働く場合と比較して、脳卒中のリスクが35%高くなり、虚血性心疾患による死亡のリスクが17%高くなると結論付けています。
また、長時間労働者も増えており、現在、世界の総人口の9%を占めています。この傾向により、さらに多くの人々が仕事関連の障害や早期死亡のリスクにさらされています。
心臓病と脳卒中による死亡を増加させる長時間労働:WHO、ILO
労働基準法では『週40時間』が労働時間の上限とされています。
かねてから言われていることですが、過度の長時間労働は体に毒ですし命にかかわります。
僕がいた学習塾は常に誰かしら体調を崩してました…。
長時間労働とも関連しますが、残業もけっこう多いです。
僕がいた塾でだいたい月に50~80時間くらいでした。
最近覚えてる範囲で計算したので多少ズレはありますが、だいたいこれくらいかと。
ちなみに僕はヒラ社員だったので、教室長など出世してる人はもっと多かったです。
おそらく100時間超えの上司もいたと思います。
ただこれだけ残業をしておいて、僕は残業代を1円ももらったことがありません。
僕がいた塾の給与の内訳は実にシンプルで、
- 基本給(20万円)
- 交通費(2万円)
と良くも悪くもシンプルでした。
いくら働いても給料が増えるだけでなく、むしろ時給に換算すれば働くほどコスパが悪い状態でした。
残業代がちゃんと出てたら給料も30万円近くはあったかもしれませんね…。
残業込みの労働時間と額面の給料で計算したら、時給900円台でした…。
うちの会社ならではかも分かりませんが、新人ならとにかく後輩ができても雑用は僕は必ず駆り出されていました。
ちょっとした力仕事ならまだ良いのですが、
- 普段授業のない教室に出向いて教室の改装の手伝い
- 休みの日に教室のパーティションなど内装の入れ替え、引っ越し作業
- 社長の私用?
などもありました。
13時出勤が基本でしたが、このような雑用で12時出勤になったり時には朝10時出勤もありました。
もちろん?、残業代同様にこれらに対する時間外手当などは1円も出ていません。
また授業前に社長の私用に駆り出されたこともあったりで、悪い意味で『便利屋』のポジティブに落ちぶれていました。
この便利屋というポジションについては、僕の同期ブロガーでブラック企業に詳しいAtusiさんも解説しています。
実際に便利屋って言われている人の仕事って、高度な技術が云々ってことは一切なく、むしろ誰もやりたがらない貧乏くじを押し付けられるという意味合いが強く、それを美化して便利屋なんて言ったりしているのです
完全に職場内で「面倒ごとがあったらあいつに押し付けてやろう」見たいな損する役回りを押し付けられているのです
職場で便利屋ポジションになったら損!そうなったら会社を辞めるべき!お前ら、社畜で人生楽しいか?
1年目はとにかく、ある程度年数重ねても便利屋のポジションの場合は要注意ですね。
僕みたくムダな仕事ばかりが増えてムダな労力を割くのはもちろん、本来の仕事をする時間が失われてスキルの上昇を妨げることにもなります。
実際雑用的な仕事がほとんどでしたから…。
良くも悪くも使い勝手は良かったみたいで社長は僕のことを気に入ってたようですが、僕からしたらたまったもんではありませんでした(笑)
ムダに労働時間と労力が増えただけでしたから…。
さらに過度の雑用は本来やるべき仕事に割く時間も減り、スキルアップに支障が出ることもあります。
その会社に残って出世するとしても転職するとしても支障が出る可能性が高いので注意が必要です。
僕は23歳~27歳までの約4年を正社員で塾講師をやっていましたが、1円の昇給もありませんでした。
仮に教室長になってたとしても数千円程度の昇給だったそうです。(上司談)
一番衝撃的だったのが、僕の直属の上司が僕とほとんど同じ給料だったこと。この上司には入社当時から面倒を見てくれた方ですごく仕事もできました。科目のリーダーもやって僕も人として尊敬できる方だったのですが、そんな方が僕とほとんど変わらない給料ということにはすごくショックを受けました。
一般企業で言うと、課長もしくは部長にあたる方でした。
しかも僕と違って結婚して子供もいたので、さぞかし大変だったと思います…。
他の上司からの情報も合わせると、どうも僕の会社はどうあがいても40代前半までは給料が据え置きでした。さらに僕の2,3個年上の上司も
- ある教室の生徒数を3年で10倍以上にした
- 教室ごとの生徒の成績も社内トップクラス
- 生徒や保護者からの信頼も絶大
- なぜか塾外の生徒もその上司の名を知ってた
という驚異的な成績・影響力を残したのに上層部からは評価されてる感じはあまりありませんでした。
おそらく給料などもこれだけのことをやっても僕とほぼ同じだったと思います。
僕もこの人の下で3年一緒に働きましたが、10歳上の上司と同じく人として尊敬できる方で生徒や保護者の信頼もしっかり築き、この上司を悪く言う生徒や保護者を見たことがありませんでした。
いろんな教室を見てきましたが、この上司ほど生徒や保護者に支持されている人は見たことなかったです。
これを踏まえると、昇給だけでなく評価・査定が正しく行われていたかは疑問です。ちなみにこの2人の上司はいずれも僕が辞めた後に辞めたそうです…。
なお、塾講師のおおよその年収はだいたい300~400万円が相場のようです。
少し古いデータとなりますが、平成27年のデータでは、予備校講師・塾講師として正社員勤務している方の年収は、 以下のようになります。
平均月収:26.7万円(*)。 平均賞与(ボーナス)等:37.0万円。 この数字をもとに考えると、塾講師の平均年収は357.4万円となります。
ただし、この厚生労働省の調査結果はあくまでも平均。個別の年収に対してそのまま当てはまる金額ではない点は留意してください。
塾講師の年収は? 正社員の年収・給料を解説!
僕のいた会社は30代までは目立った昇給が無くさらに給料は低めで、僕(20代半ば)で年収280万円くらいでした。
僕はとにかく、仕事で成果出したり子供もいる上司が僕と同じ年収と考えると悲しい…。
- 長時間労働が常態化している(定時上がりはない)
- 残業が多いのに残業代が1年も出なかった
- 謎の雑用が多い(悪い意味での便利屋)
- 昇給が無かった(30代まではまともな昇給はない)
僕がいた塾を例に挙げましたが、他の塾から転職してきた方の話も聞く限り塾業界全体としてこのような傾向があるとも言えそうです。
塾講師は子どもの成績アップや志望校合格に貢献できるという意味ではかなりやりがいのある仕事だと思っています。
でも同時にブラック企業が多い業界というのも事実です。
最近は厚生労働省の方で長時間労働の是正やパワハラ対策の法律などブラック企業を是正する法律も整備されつつあるので、少しでも塾業界のブラックさがなくなればと思います。