著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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営業職は喋るのが上手くないと難しいから事務職かなー。
そう思い事務職に就職しましたが、仕事の相性や上司のパワハラもありうつ病寸前にまで追いこまれました。
昔の僕みたく、安易に事務職を目指す人も多いため事務職の実態を今回の記事では解説しています。
事務と言うと「のんびり仕事できそう」という声もあるらしいですが、経験者としてはむしろ逆だと思いました。
業界にもよりますが僕が経験した建設会社の事務では、
事務でやること
- 書類作成
- 伝票処理
- 電話応対、取次
- 来客応対
- 備品チェック
- お茶出し(やるのは女性社員)
- 郵便物の発送、仕分け(発送は近所の郵便局へ行ってました)
など多彩な仕事内容でした。
しかもこれらを複数同時にこなすことがあるという典型的な『マルチタスク』な状態でした。
塾講師や農業などいろんな仕事を経験した僕でも、事務はある意味一番忙しいと思いました。
本で読みましたが、人は元々マルチタスクは苦手だそうです。
事務の仕事はだいたいやることは決まっています。
書類や伝票も時期によってだいたい決まってきますし、電話や来客応対もよほどイレギュラーなことが発生しなければ基本的にワンパターンです。
そのため1ヶ月~数ヶ月仕事をこなせば、仕事内容は一通り網羅できるのでそれ以降はひたすら同じ仕事(ルーティンワーク)を繰り返すことになります。
僕はルーティンや地道な作業は特に苦ではないですが、逆に変化を好み細かい・地味な作業を苦手とする人は事務にやりづらさを感じることが多いです。
個人的にルーティンワーク自体は苦ではないため、この点は好みが分かれそうです。
事務はパソコンに向かい合って一人黙々と仕事をするイメージもありますが、実際は同じ部署の人との関係性もかなり重要になってきます。
社内にいることも多く、部署の人とずっと一緒にいることも多いですからね。
そのため同じ部署の人と良好な関係を築けていれば問題はないのですが、僕みたく仕事が下手で関係をこじらせると関係が上手くいかなかったり、最悪パワハラにも遭います。
特に小規模・少人数な会社ほど人間関係に神経をつかいます。
僕もそうでしたが、
- コミュニケーションが得意・・・営業
- コミュニケーションが苦手・・・事務
という考えでコミュニケーション(喋る)が苦手だから事務を選ぶという人も多い印象です。
でも実際は事務職こそコミュニケーションが求められます。
仕事の進捗状況の報告などのやり取りも多いですし、基本的にオフィス内での仕事に終始するため特に同じ部署の人とコミュニケーションを取らない方がむしろ難しいです。
ちなみに僕は塾講師という典型的な喋る仕事も経験しましたが、事務職の方がコミュニケーションには神経をつかいました。
塾講師は、会社の人の他に生徒や保護者とのコミュニケーションの比重も大きいですが、一度信頼関係気づけば割と気楽です。
最近は徐々に和らいでいるかもしれませんが、まだまだ事務と言うと『女性がやるもの』という認識のある人や会社は一定数いる印象です。
僕が派遣事務をやったのは2011年でしたが、『事務=女性』『営業=男性』という風潮が強かったです。
そのため男性の僕が事務で応募して面接をしたときは、会社の人にも怪訝な顔をされました。
派遣会社の人からも「男性で事務志望は珍しい」と言われました。
厚生労働省によると、一般事務の有効求人倍率は『0.31倍』だそうです。
(事務的職業全体でも0.39倍)
要するに一般事務の求人に対して、一般事務を希望する人が多すぎるという状況ですね。
31件の一般事務の求人を100人で競うみたいな状況です。
このように希望者が多すぎることに加えて、特に「未経験歓迎」と記載されている事務の求人でも簿記などの有資格者や事務経験者も応募することがあるため、未経験者がその競争を勝ち抜くのはかなり難しいです。
希望者に対して求人が少ないことに加え、有資格者や経験者など猛者と競わなければいけないという二重苦な状況です。
事務は他の職種と比べると、給料はそこまで高くない傾向があります。
事務職全体の平均年収は「332万円」です。
男女別に見ると男性は391万円、女性は317万円となっています。
【2022年】事務職の平均年収は332万円|年代・種類別で徹底比較!転職して年収をアップさせる7つのコツも|AG法律アカデミー
営業や技術系などの専門職に比べるとどうしても給与・年収は低くなります。
僕が働いていた建設会社の事務も当時は大卒で初任給20万円くらい、それ以降の昇給は緩やかなようでした。
事務は特性上、営業などと比べてこれと言ったわかりやすい成果がないため、給与に反映しづらい部分もあるかもしれません。
事務は「縁の下の力持ち」と言われ、陰ながら会社を支える仕事。
一方で成果がわかりづらいため、事務の給料が高くないのは職種+構造上しょうがないので割り切るしかないかもしれません。
僕は大学を卒業した年(2011年)の6月~8月にかけて地元の建設会社の事務として働きました。
派遣会社を介して見つけた求人で、社員数十人規模の会社。
創業してからかなり長くいわゆる老舗な会社でした。
派遣会社から様々な業界・職種の求人を提示されていましたが、その中でも
- 会社の安定性・知名度
- 福利厚生
- 給料・ボーナス
などを総合してみれば実はトップクラスに良い会社で、この建設会社に内定をいただいた時には派遣会社の社員や同期もかなり喜んでいました。
まずは『紹介予定派遣』という形で入り、上手くいけば社員登用という形で入社しました。
建設業界は典型的な男社会のため、僕の派遣先の建設会社も社員のほとんどが男性で数名女性社員がいるという会社でした。
各部署に事務的なポジションの女性がいましたが、年齢でいうと20代~30代だそうで基本的に女性は結婚したり妊娠したら辞めるのが前提でした。
2011年の話ではありますが、業界や会社によってはすでに育休の話も多少出てたので、遅れてると思いました。
ある意味、事務は止めるのを前提に人を雇ってる感じもしました。
事務は「代わりがきく」という認識かもしれません。
僕は事務を辞めたあとに学習塾の塾講師に転職しました。
塾は入社したら必ず『メンター(研修担当)』の先輩社員がつく仕組みになっており、試用期間はその先生について回って授業見学をしたり、模擬授業をするなど必要なスキルを教えてもらいました。
入社4か月後に正社員に昇格したタイミングで僕もクラスを受け持ち、普通に授業をするようになりました。
授業の良し悪しはあれど、最初から大きな問題はなくこなせていたので塾は新人の育成体制はしっかりしていました。
塾は塾で長時間労働など別の問題がありましたが、新人の育成だけなら今までの職場で一番良かったと思います。
さすがに新卒・若者を定期的に採用しているだけのことはあります。
一方で派遣先の建設会社は、当時は新卒採用をやっておらず近い年齢の人もあまりいなかったです。
基本的に経験者やコネでの採用で新人を育成する仕組みがなかったです。
これで新卒採用をやっているような会社だったら、新人の育成のノウハウもあり大きな問題は生じなかったと思います。
新卒採用が絶対でもないですが、会社によっては元々若い人をほとんど採用してなくて社員を『育てる』という意識や仕組みがない会社もあるため、未経験者は特に注意しましょう。
事務は書類作成・整理、電話応対、来客応対など仕事の幅が広く、しかも同時並行でやることも多いです。
そのため、いわゆる『要領の良さ』『器用さ』は必須になってきます。
言い換えれば、どんくさい・不器用なタイプは事務ではキツイことが多いです。
例外としては、新人の育成体制が整っている会社ですね。
先述したように事務職は給料がそこまで高くなく、大きな昇給も少ない傾向にあります。
例えば営業職であれば営業の成績によってインセンティブがついて給料が増えることもありますが、事務職でインセンティブがつくことはほとんどないです。
加えて最近は『終身雇用』も崩れつつあるため、ずっと会社員をやるとしても転職が当たり前になってきます。
転職したら一時的にでも給料が下がる可能性もあるため、会社の給料だけに頼るのは今後はよりナンセンスになりそうです。
そこでオススメしたいのが『副業』
- ブログ
- ライター
- 動画編集
- Webデザイン
など様々な種類の仕事があります。
会社にもよりますが、事務は他の職種と比べて残業が少なく休日も多い傾向なので仕事終わりや休日に副業を行うことでスキルを磨くチャンスも作りやすいです。
副業は収入源が増えるのもそうですが、それ以上に収入源が増えることによる『安心感』がより大きなメリットだと思います。
ちなみに「まだ何もスキルがない!」という方は、個人的にはブログをオススメします。
副業の話になりましたが、会社の仕事(本業)においても可能な限りスキルを身につける方が良いです。
出世や昇給にも少なからず影響しますし、仮に転職するとなってもスキルや資格がある方が採用されやすいのもあります。
特に事務系の資格では、
- 簿記
- ITパスポート
- MOS (マイクロオフィス スペシャリスト)
などがあり、事務で転職をお考えの場合は何らかの資格は取っておいた方が良いです。
事務は将来的に『AIに仕事を取られる!』なんて話もあるので、今後はスキルを持っている事務職しか必要とされなくなりそうな感じもします。
特に僕みたく事務関係で予備知識がない方は、今はオンラインでも勉強できる仕組みがあるので活用をオススメします。
- 事務職は皆さんが思っているより大変な職業
- 営業職と比べるとそこまでコミュニケーションの必要がない…は間違いでむしろ営業職以上に社内でのコミュニケーションは神経をつかう場合もある
- 事務職は求人も多くないため、事務職へ転職しようとすると競争率が激しい
- 事務職は競争率が激しいうえに経験者や有資格者が優位に立つことが多く、未経験者の転職は不利
- 昇給も鈍いため、副業をやって収入源を増やすのも手
とにかくお伝えしたいのは、事務は世間一般が思うより大変な仕事で安易に事務職を選ぶべきではないこと。
また仕事もある程度パターン化されていたり成果がわかりづらいため、長い目で見るとずっと事務職でやっていくのも難しい部分もあります。
そのため「楽そうだから」という理由で事務職を選ぶといろんな意味で後悔する可能性もあります。
自分に合う仕事かをしっかり考えたうえで事務職を選びましょう。