著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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僕みたく1度ブラック企業でひどい目に遭ったり、これから就職・転職する人はブラック企業に対する不安を持ってる人も多いと思います。
せめてブラック企業の特徴や傾向は把握しておきたい…。
今回の記事では僕の元勤務先は知人などからいただいた茨城県のブラック企業情報をもとに傾向などを出して考察してみました。この記事を通じてブラック企業のパターンを少しでも知ってもらえると嬉しいです。
この記事のブラック企業情報は情報が入り次第随時追加します。
茨城県内のブラック企業上は随時募集していますので、ブラック企業にひどい目にあわされた人、もしくは友人知人などでそういう人がいればぜひブラック企業情報提供フォームよりお知らせください。
皆さんの情報提供が今後のブラック企業に被害を減らす手助けになります。
ネットの情報だけではブラック企業は網羅できていない
もちろんネット上を探してもブラック企業の情報は出てきます。たとえば各都道府県の労働局のホームページを見ればブラック企業という表現こそないですが、労働基準法など労働関連の法令に違反した企業を公表していることもあります。
ただし労働局に掲載されている企業の傾向として
- 建設など現場系の仕事が多い
- 事案も安全管理などに偏っている(もちろんよくないけど)
があり、当ブログで発信しているような「ハラスメント」「長時間労働」などの事案はほとんど取り上げられていません。
安全管理系は再発防止策をしっかりやれば同じ過ちをすることはあまりないですが、ハラスメントや長時間労働などは仕組みとして根付いていることも多い。そのため毎年新入社員が被害に遭うなど、同じ会社で長い年数にわたって問題が発生、放置されているケースも多いです。
そのため労働局に掲載されている企業はあくまで氷山の一角として見ましょう。
僕が経験したブラック企業体験談
まずは僕が実際に勤めた職場でのブラック企業体験談を解説します。「建設」「塾」「農業」の3つの業界ですが、それぞれ微妙にパターンが異なるので興味深いです。
建設会社での派遣事務
- 初めての就職先
- 初日からできないことに対してすごく詰められる
- 入社1か月でストレス性の過敏性腸症候群を発症、1週間で2回欠勤
内定をもらえないまま大学を卒業した僕にとっては念願の就職先でした。当時はもともと事務職希望だったので前向きに入社したつもりでしたが、入社初日から仕事に手間取っているとネチネチ言われたり圧をかけられたりとかなりやりづらさがありました。
当時の僕は6月入社とはいえほぼ新卒で、学生時代も事務は未経験でした。
それが積もり積もって入社1か月でストレス性の過敏性腸症候群を発症、入社2か月たつ頃にはかなり重症化してたようでした。
医者から鬱の疑いもある(一歩手前)と言われたこともあり、派遣という立場でしたが2か月で退職しました。ちなみに派遣という立場もあって残業ができなかったため、定時で帰っていましたがそれでもかなりの疲労感がありました。
ここで発症した過敏性腸症候群はのちに塾講師に転職してからも何度も再発もしましたし、10年以上たった今でも胃腸の弱さなどにはつながっています。
正社員の学習塾講師
- 試用期間4か月、正社員4年の計4年4か月勤めた
- 入社2年目以降労働時間が大幅に伸び、休日も大幅に減少
- それに伴い体調も悪化、ドクターストップもかかった
- 体調の悪化に伴いメンタルの不調もあった
事務を辞めてすぐ就活を再開し、1,2か月くらいで学習塾から内定をいただきました。塾は建設会社より新人の研修など育成面はしっかりしており、圧をかけられることもなくゆっくりながら成長していけました。
ただ、問題だったのは長時間労働と休みの少なさ。
入社したころはまだよかったのですが、2年目にシステムが大きく変わってから労働環境が一気に悪化しました。入社3年目から本格的に体調を崩し始め、通院したり安定剤を毎日服用しながらの生活でした。
そして入社4年目後半にはドクターストップがかかるレベルまで体調が悪化。
ドクターストップがかかった日もなんやかんやで出勤しました…。
塾業界ならではの話だと、塾講師は年度末以外で辞めるのは少しハードルが高いので、辞める時期は前もって決めておくなど他業界よりは神経をつかう印象でした。
農業法人でのアルバイト(社員登用アリ)
- 軽トラなどを運転するため多くの農業系の会社でマニュアル免許が必須
- そのため教習所でオートマ限定解除の講習を受け、マニュアル免許も取得(4、5万円かかった)
- 建設会社と同じく初日からできないことに対してすごく詰められる(僕が大学農学部出てたから?)
- クビになる際は広い事務所内で社員に聞こえる形で暴言を吐かれて、クビを宣告された。なお僕のそばにいた社員はうっすら笑ってた
大学が農学部だったこともあり、塾の後は思い切って農業に転職しようと思いました。当時は車の免許がオートマ限定、でも農業の求人の大半はマニュアル免許が必須だったこともあり教習所で「オートマ限定解除」の教習を受け約1週間でマニュアル免許も取得しました。
費用が4万円かかった中での農業への転職でしたが、結論としては3週間でクビになりました。
大学が農学部だったので「こいつはできるだろう」と社長に思われてしまったのもありますが、建設会社の時と同じく初日からできないことがあると痛烈に批判されるなど圧をかけられ続けました。そして最後は社員が仕事をしているだだっ広い事務所で社長に
「お前は価値のない人間だ!」
などの暴言を30分くらい浴びせ続けられた末にクビになりました。
この時のダメージが大きく、農業をクビになってから約2年間は働くのがトラウマになってニートでした。
茨城県のブラック企業の状況と傾向
実は今回の記事は前々から構想があり、記事作成にあたって知人などから茨城県内のブラック企業の情報を集めてきました。記事公開の段階で僕の元勤務先も含めて32社の情報をいただいており、条件面や社内であった事案などをまとめて集計しました。
以下で茨城県内のブラック企業の傾向について考察・解説しています。
ブラック企業だから給料や休みは少ない?
32社がリスト入りしていますが、給料などのデータを拾えたのが21社だったのでそれを基に下記のような散布図を作りました。
散布図を作った印象としては想像してたより、ブラック企業だから一概に給料低い、休みが少ない…とは言い切れないと思いました。初任給でも20万円越えは思ったより多いですし、大半は年間休日100日以上はあります。
逆にいえば、一見給料がよさそうだったり休みもたっぷりあるような会社の中にもブラック企業は紛れているといえます。
ただし年間休日はあくまで求人票を基にデータを出しています。
例えば僕が勤めた塾は求人票には年間休日105日と記載されていましたが、実際は80日くらいとうそのパターンもあるのでちょっとややこしいです…。
どんな事案が多かった?
- 長時間労働(過労死ラインクラスの残業があるなど異常に労働時間が長い)
- ハラスメント(パワハラ、セクハラなど)
- 賃金関係(残業代、給料未払いなど)
- その他
この4つの観点でどのような事案があったかを集計しました。ハラスメントは大半がパワハラで人格て否定的な言葉を浴びせるのが大半を占めました。
また、少数ながらセクハラに該当しそうなのもあり、例えば女性の方からは
職場の飲み会にて男性上司に手を握られました。後日、女性の上司に相談しましたが「仕方ない」と言われてしまいました。
ということがあったそうです。女性が受けるセクハラでいうと、同じ女性でも上司はそれが普通と割り切っている場合もあるようです。
どういう業種・職種に多い?
ブラック企業の業種についてはほとんどの業種でブラック企業が確認できました。
業種の内訳は上記のグラフの通りで特に多かったのが
- 製造業
- 教育
- 専門サービス(主にコンサル系の会社)
でした。
いずれも「業界がブラック」とは噂レベルながら聞いていたので、納得した部分もありました。
ただしデータ上はほとんどの業界でブラック企業が確認できたので、「この業界に行けばブラック企業はない」というのはないのかもしれません。
職種は32社のうち約半数しか確認はできていないですが、その中でも「工場の作業員」「事務職」で半数近くを占めていました。
特に事務は「ホワイト」なイメージもあるそうで転職活動でも人気がありますが、僕も実際に事務をやった身では世間のイメージとのギャップを感じました。事務職の注意点、デメリットについては事務職はやめとけ!経験者が語る事務が大変な理由でも解説しています。
茨城県内のどこに多い?
茨城県は県内の市町村を区分する際に大きく
- 県北(日立市や常陸太田市など県北部)
- 県央(水戸市やひたちなかなど県の中央部)
- 県南(土浦市やつくば市など県の南部)
- 県西(古河市や筑西市など県の西部)
- 鹿行(鹿嶋市や鉾田市など県東部の海沿い)
の5つに一般的に区分されます。
細かい区分はサイトなどにより異なりますが、ここでは茨城県が発行している地域区分等の考え方をベースにしています。
会社の本社(事業所が多い場合は勤務地)をベースに地区の割合も調べてみました。結果は下記のグラフの通りです。
やはりというべきか会社の数が多いであろう県央、県南地区の会社が半分以上を占めたのでこの点は予想通りでした。
県央は県庁所在地の水戸市がありますし、県南はつくば市などには最先端な会社も多いみたいですから。
ちなみに鹿行地区のブラック企業が未確認ですが、ブラック企業がないというより僕のつてがないだけなので鹿行地区のブラック企業情報も今後得られればと思います。
まとめ
- 労働局などネット上でもブラック企業の情報は入手できるが、偏りがあり完全に網羅できるとはいいがたい
- ブラック企業だからと言って給料が低い、休みが少ないとは一概には言えない
- ブラック企業で起こる事案としてはハラスメントと長時間労働が多い
- ブラック企業の存在する業種、職種はそこまで大きな偏りはない
- 茨城県内においては県央、県南のように母数が多いところにブラック企業は多くなりやすい
「どうせ就職・転職するならブラック企業は避けたい」という人は多いと思います。特に新卒の場合は、大学や就職支援の業者などもブラック企業の情報を教えてくれることはまずありません。そのため自分で自分の身を守るしかない部分もあります。
この記事が少しでもブラック企業を避ける術になってもらえたら幸いです。
会社ごとの事案は以下の記事でまとめました