著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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皆さんは就職活動などで会社の『年間休日』って気にしますか?
なんとなく休日は多いほうがいいイメージをお持ちかと思いますが、特にワークライフバランスを気にする方やプライベートも充実させたいという方は休みが少ないとそもそも意味がないですよね。
年間休日も明確な目安などがあるわけではないですが、おおよそ「100日」を切ると少ない部類になります。では年間100日を切るような会社だとどのような生活になるのか?実際に年間休日80日、90日台を経験した者として解説しました。
年間休日が少ない=違法…ではない
休みはある程度多いに越したことはないですが、実は法律上は休みが少ない=違法とは言い切れません。実際労働基準法でも「年間休日〇〇日以下だと違法」みたいな文言はありません。ただし一応の最低ラインは定められています。
(休日) 第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
労働基準法第35条
あくまで週に1日の休みもしくは4週間に4日以上の休みなので、例えば2週間連勤でもその後に休みがあれば一応問題ないです。ただし僕も10連勤を経験したことはありますが、1週間以上休みがないのはさすがに疲れます。個人的な体感ですが、1週間以上の連勤はよほど体力に自信のある人以外はオススメできません。
実は1週間休みがないこと自体は違法ではない。ただし週の労働時間が「40時間」と定められているのでそちらで違法になる可能性はある。
また、年間休日に関しては厚生労働省が「就労条件総合調査」で様々な統計を取っていますが、企業の規模に関わらず年間休日の平均は100日を超えてきます。加えて企業の規模(従業員の人数)が大きいほど年間休日が増えて、逆に規模の小さい企業ほど年間休日も少なくなる傾向のようです。
1企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、「1,000 人以上」が 115.5 日、「300~999 人」
令和4年就労条件総合調査
が 114.1 日、「100~299 人」が 109.2 日、「30~99 人」が 105.3 日となっている。
また、いずれの規模でも8~9割の企業は年間休日が100日を超えてくるので、統計上は年間休日が100日を切ると休みはかなり少ない部類になります。
他の統計を見ても統計上は8~9割の企業は年間休日が100日以上あるようです。おそらく地方の小規模な企業が統計に含まれてないでしょうけど。
塾講師時代の休みのパターン
週休1日が多いけどたまに連休アリ
「完全週休2日制」を採用している企業割合を企業規模別にみると、「1,000 人以上」が 65.8%、
令和4年就労条件総合調査
「300~999 人」が 61.2%、「100~299 人」が 48.2%、「30~99 人」が 47.1%となっている。
現在は完全週休2日制の会社の半分を占めるようになりましたが、企業の規模と週休2日制の導入率が比例するみたいで、地方の小さい企業になると単なる週休二日制や週休2日制を導入してない企業もちらほらあります。
「週休2日制」だけの表記だと月に1回週休2日があればOKになってしまうので、毎週週休2日が良い場合は『完全週休2日制』の会社にしましょう。ただし完全週休2日制でも平日休みのパターンもあるので、その点は注意。
僕が勤めていた塾に限らず、塾業界は休みが少ない傾向にあり特に地方の中小企業や零細企業になるとその傾向が顕著です。そのため週休2日が発生すればラッキーな部類で、週休1日の週が普通に感じました。
一方で
- 夏期講習など各講習後
- ゴールデンウイーク
- お盆
あたりは僕がいた会社では4日~7日の連休が発生するため、休めるときはそれなりに休めるという感じでした。
僕が入社したころは年末年始も世間一般と同じ感じで休めましたが、3年目あたりに年末年始の休みが撤廃され中3の特訓授業に充てられました。そのため12月31日や1月1日も朝から授業をやっていました。
そのためその数少ない連休を楽しみに日々仕事をしているような感じでした。
受験が迫ると週休1日でフル回転
塾は特に受験が迫る冬は繁忙期にあたります。この時期は生徒も増えて社内も受験が近いということで少しピリピリした空気になります。基本的に春は受験が終わりひと段落するので休みは多くなりやすい傾向があり、冬・受験が近づくほど休みが少なくなりやすい傾向です。
仮に週休2日の週があるとしても残業が多いパターンもあるので、結果かなり疲れます。
ごくまれに休日出勤もある
僕がいた塾の場合、教室の新規出店や撤退に伴う教室の移転作業も業者の介入は最低限で、ほとんどは自分たちでやっていました。机や椅子、パーテーションの運び出し~運搬など力作業が多かったです。
そんな時に社内でも最年少に近い部類だった僕はほぼ100%駆り出され、時には貴重な休日を割いて駆り出されたこともありました。この辺は早くても2,3日前など直前になって言われることも多いため迂闊に休日に予定も入れられませんでした。
実際、休日出勤との兼ね合いで泣く泣く断った友人の誘いは数知れず…。
なお、実際に休日出勤した場合は時間や回数などに応じて「休日出勤手当」の支給があるはずなのでご確認ください。僕がいた会社みたく休日出勤させておいて、手当が1円も出ないのは違法なので。
年間休日80日~90日の生活ってどんな感じ?
週休1日が普通
数字上は毎週週休2日だと年間休日は105日に落ち着きます。単純計算それより少なければ週休1日の週も発生するわけで、特に100日を切り80日台になると週休1日の週が多くなる感じがあります。
学校も今は土日休みと週休2日が普通でそれに慣れている方がほとんどだと思います。その中で会社では週休1日が多いとその点で違和感を感じるかもしれません。
実際のところ年間休日105日でも決して多いとは言い切れません。
週休2日に加えてお盆や年末年始、ゴールデンウイークなども休みだと120日を超えてくるので、暦通りの生活を期待するなら年間休日120日以上はマストです。
残業があると疲れも取れず休日も疲れをとるだけで終わってしまう
仕事量がそこまで多くなくほぼ定時で帰れるレベルであれば多少休みが少なくてもそこまで違和感はないですが、休みが少ないうえに残業まで発生するとだいぶ疲れます。
そのうえで週休1日しかない状態だと、その1日の休みは寝て過ごすなどちょっと休んだら終わってまた仕事となってしまいます。趣味に1日あてるなどは体力的に難しかったです。
休んだうえで趣味、プライベートまで充実させるなら2連休、週休2日は欲しいところです。
友人と予定を合わせるのも難しい
休みが少ないと友人と休みを合わせて遊びに行ったり飲みに行くなども難しいです。そもそも僕の場合は平日休みの時点で予定を合わせるのがだいぶ難しいですし、さらに休みも少ない部類だったのでなおさらですね。
ちなみにこの話をすると「有給休暇使わなかったの?」とよく聞かれますが、僕がいた会社は実質有給休暇はありませんでした。
一応半休(出勤時間を3時間遅らせる)は年に14回使えたので、それが実質有給の代わりでした。少なくとも4年塾にいて有給で休んだ人は見たことなかったです。
本来有給は義務で申請すれば取れるはずなので、有休がとれるなら積極的に上手く活用しましょう。
平日休みだとどこに行っても空いていることが多い
僕がいた塾は毎年休みの曜日が変わるところで、僕の場合は年によっては水曜日休みか木曜日休みでした。いずれにしても平日の休みがほとんどで土日が休みになることは珍しかったですが、平日休みの数少ないメリットの一つがどこに行っても空いていること。
観光地や娯楽施設などはたいてい土日や祝祭日に人がたくさん集まりますが、平日はそこまで人手は多くありません。そんな中で平日休みだと人混みの煩わしさとも無縁なことが多いのでその点は良かったと思います。
塾に限らず小売業などサービス業だとこの傾向はあるかもしれません。
逆に塾の前職の建設会社事務、塾の後の農業法人は土日休みでしたが、当然ながら休日はどこに行っても混んでるので人混みが苦手な人は平日休みは案外悪くないです。
ただし結婚して子供がいる方は、学校行事等で土日休みの方が望ましいケースもあるかもしれません。
年間休日が多いから絶対安心ともいかない
ここまでは年間休日が100日を切ってる塾の話でした。
一方で塾の前職の建設会社、塾の後の農業法人は僕の就業形態では土日休みと塾よりも休日は多く、また残業もほとんどありませんでした。ただ、個人的には塾よりも建設会社や農業法人のほうが辛かったです。
特に建設会社は年間休日で120日くらいでした。
というのも塾は長時間労働こそありましたが、ハラスメント的なことはあまりなく社員一人一人は良い人が多かったため精神的な負担はそこまででもありませんでした。ただ建設会社や農業法人や入社直後から上司や社長などの当たりが非常に強く、常にプレッシャーの中での仕事でした。
結局建設会社は入社2か月でうつ病寸前になり辞めて、農業法人に至っては社長から30分社員の前で人格否定され続けた上にクビになるという仕打ちを受けたくらいだったので、個人的には塾よりも建設会社と農業法人の方がよりブラックだったと思っています。休日の多さや給料などの条件面だけなら塾より良かったですが、条件等がそろっていても良い職場とは必ずしも言い切れないんですよね。
結局は年間休日も企業の良しあしをはかる上での1つの要素に過ぎない。
年間休日が多くてもブラック企業はあります。
まとめ
- 年間休日が100日を切ると少ない部類だが、それ自体が違法とは言い切れない
- 年間休日が100日を切ると週休1日の週が増えてくる
- 週休1日となると疲れをとるだけで休みが終わってしまい、趣味などに充てる時間がとりづらい
- 加えて平日休みだと友人との予定を合わせるのがより難しい
- まともな会社なら有給休暇が使えるのでうまく活用しよう
年間休日は「○○日以下はNG!」みたいな明確な線引きがないため、違法かそうでないかのラインや会社選びにおいて難しいところです。ただ、当然ながら年間休日が少ないほど休みだったりプライベートに割く時間も減るので、人生を充実させるのも難しくなります。
仕事を頑張るのも大事ですが、休めるときはしっかり休める会社で働きましょう。