著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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みなさんは転職活動をするときに何の媒体を利用しますか?
最近はネットが発達してきて転職サイトだけでもかなりの種類がありますが、2016年ごろに転職活動をしていた僕は「ハローワーク」を活用していました。地方ではまだハローワークを使っての転職活動も根強く、転職サイトと比べると地方の求人も豊富に扱っている点は転職サイトよりハローワークにメリットがあると思います。
ただハローワークの一番の問題点が『ハローワークの求人の内容に嘘が混じっていること』
会社に入ったら、
- 「給料が求人票に書いてあった内容より低かった」
- 「求人票にはボーナス有と書いてあったのにボーナスが出なかった」
などですね。今回の記事ではハローワークの求人に紛れている嘘について解説しました。
この記事でわかること
以前から問題になっていますが、ハローワークで求人を探し入社すると求人票の内容と実際の条件にかなりの違いがあるというケースが多いです。僕もある企業にハローワーク経由で入社しましたが、求人票と実際の条件の違いが多々ありました。
厚生労働省の調査によると、ハローワーク求人の記載内容と実際の労働条件違いによる苦情は減少傾向ながら数千件はあるようで、平成26年は12,252件、平成29年は8,507件でした。
特に地方ほどハローワークを使う人も多いため、死活問題ですね。
ハローワークに限らず、求人の内容と実際の条件が違う場合は厚生労働省も言及していました。
質問
求人誌を見て就職しましたが、求人誌に書いてあった給料や勤務時間などの条件と実際の条件が違っていました。これは労働基準法違反ではないのですか。
回答
労働基準法第15条には、労働条件の明示が定められていますが、この条文で言う労働条件の明示とは労働者個々人に対して書面で明示される労働条件のことです。つまり、求人誌やハローワークに掲載されている求人票はあくまでも募集の際に提示する労働条件の目安であり、労働基準法第15条で定める労働条件の明示には該当しません。
よくある質問|厚生労働省
なお、ハローワークに掲載されている求人票の条件と実際の条件が異なる場合は、まずはハローワークにご相談ください。
今のところハローワークの求人に嘘がある点は労働基準法など法的に違反とは言えないみたいです。そのため、嘘の求人があるからと言って違法と認識されることはなく、労働基準法の観点では特に取り締まることもできません。
ではここからは実際にあったハローワーク求人の嘘の実例として、僕が昔ハローワークを通じて入った会社の求人票をもとに解説します。
僕が昔勤めていた某ブラック企業もハローワーク経由で応募しました。その求人票には時間外労働の欄があり「時間外労働なし」と記載されていました。実際入ったら全くそんなことはありませんでした。
特に入社2年目以降は、時間外労働も爆増してピーク時では月50~60時間くらいなんてこともありました。
2年目から急に社内のシステムが諸々変わったのもありましたが…。
僕は平社員だったのでまだマシな方で、役職のある人は月100時間は残業をしていたと思われます。
同じ会社の話ですが、求人票には年間休日が105日と記載されていました。
年間休日105日はイメージとしては週休2日をおおよそ確保できる計算です。
ただ、実際入ったら年によって変動はありましたが年間休日は80日前後でした。当時は休みが水曜日もしくは木曜日の平日の週1日しかなく、しかも突発的な仕事(雑用)でその週1日の休みが潰されたことも多々ありました。
ちなみに休日出勤したところで、『休日出勤手当』などいわゆる手当と呼ばれるものは1円も出ませんでした。
一応ゴールデンウイークとお盆は人並みに休みは取れたのでそれが救いでしたが。
年間休日が100日を切ると週休2日の確保は難しく、身体への負担もかなり大きいのでよほどやりたい仕事か体力に自信がある人でなければ、求人が嘘か以前に年間休日100日を切る求人はオススメできません。
僕が勤めた会社のハローワーク求人はボーナスと退職金の記載があったこと。ボーナスは記載通り年2回もらえました。そして退職金も勤続3年以上でもらえるとのことで、僕は4年勤めました。
しかし、退職金は1円ももらえませんでした。
会社を辞めるときの手続きで、経理の方から退職金の言及はありましたがそれ以降振り込みに関することなど特に何もありませんでした。
なぜ退職金がもらえなかったか?退職金関係でみるべきポイントを別の記事でまとめました。
条件を見てハロワから企業に連絡をしてもらって面接に行ったら、即採用になりそうだったんだけど、『ハロワに出してる条件はちょっと脚色するしかなくて、職種は〇〇、正社員じゃなくパートで、社会保障は1年後から、当面の給料は時給で〇〇円』とまったく違う条件の雇用契約書を出してきました。
ハロワの担当者に連絡してその旨を伝えると、『そんなはずはないです』とまともに話を聞いてもらえなかったです。
知人談
こちら僕の知人が以前ハローワークであった出来事だそうで、ハローワークの求人の内容と雇用契約書における内容にかなりの違いがあったとのこと。しかもその旨をハローワークに訴えてもスルーされてしまったとのことでした。
ただ本来はハローワーク側もきっちり対応する必要があり、『ハローワーク求人ホットライン』(電話)という是正指導する部署も存在します。
ハローワークやハローワークインターネットサービスで公開・紹介している求人の内容が実際と違っていた場合には、「ハローワーク求人ホットライン」にお申し出ください。担当のハローワークにおいて、事実を確認の上、会社に対して是正指導を行います。
ハローワークの求人票と実際が異なる旨の申し出等について
管轄のハローワークに直接言ってもダメだった場合は、活用の余地があります。
僕の知人でハローワークに求人を出した経験のある方がいました。会社側から見たハローワーク求人について知人の話をもとに解説します。
1人目は10年ほど前に都内の企業でハローワークに求人を出す仕事をしていた人です。
ハローワークが求人の審査をすることはなく、出せば基本通る。
ハローワークの求人でどんどん人が辞めていくような会社もハローワークが把握している場合もあるけど、ハローワークはそれに関与はしない。
また求職者側も失業手当をもらうためだけにハローワークを利用したり、求人に応募するケースもあり、ハローワークの求職者も質が低いケースもある。
この一連の仕組みが変わらないと、何も解決しないと思う。
僕も昔ハローワークを使って転職活動をしていましたが、今思えば失業手当を受給する条件を満たすために『惰性で』ハローワークに通っていたところもありました。ハローワーク側が求人をチェックする体制が適当なのはもちろんですが、求職者側ももっと真剣に仕事を探す心意気は必要そうです。
お互いが改善していかないと、ハローワーク求人の問題の改善は難しいと思われます。
あくまで10年くらい前の話のため現在は改善している部分もあるでしょうが、地域によってはまだ根強く悪い部分が残っていることもありそうです。
別の知人は会社を経営していて、2022年には実際にハローワークに求人を出していました。その知人からもハローワークに求人を出した時のことを聞きました。まとめると以下の通りです。
- ハローワークから「求人出してください」と頼まれることはなかった
- 下書きで一通りの条件を書いてハローワークに提出
- 毎週週休2日の旨を書いておきながら年間休日は100日を切るなど、明らかな矛盾や不備があればハローワークから修正を要求される
- 最近は会社が変な条件出してないかなどはハローワークは見てる
- 会社が希望すればハローワークに加えて、Indeedなど他の媒体にも求人が掲載される場合もある
- ハローワークの求人内容はあくまで目安。実際の条件は就業規則に沿うことが多い。そのためハローワークと実際とでズレが生じるかも
この知人は水戸のハローワークに求人を出したとのことですが、僕が想像しているよりはハローワークもやるべきことはちゃんとやっているような印象でした。一方でハローワーク求人の内容が絶対でもなく、結局は就業規則に沿うとか厚生労働省も触れてたように求人内容に嘘があってもそれ自体は違法ではない現状もある以上、ハローワーク求人と実際とでズレが出るのは普通にありえるかなと思いました。
最近は徐々に良くなっているかもしれません。
僕が転職活動をしていた2016年ごろは、年間休日60日など見るからにブラックな求人も普通に見られたので。
ただ、いまだにハローワークの悪い評判は聞くので地域差があるかもしれないですね。
- ハローワークの求人内容が嘘だったとしても、それを取り締まる法律などはない
- 具体例として休みが求人票より少ない、時間外労働なしの記載で過労死ラインクラスの残業、退職金アリのはずが1円も出なかったなどがある
- 嘘の内容をハローワークに訴えても相手にされない場合もある
- ハローワーク求人ホットラインに嘘の求人を報告する手もある
- 地域差はあるかもしれないが昔よりは改善しつつあり、あからさまに労働基準法などに違法してるような求人はハローワークも受理しない場合もある
- ただしハローワークを使う人は失業手当が目当てなどで惰性で転職活動をすることも多く求職者の質も問題視されている
「ハローワークの求人が嘘」と言う話は僕が社会人なった直後くらいから聞いてた話で、今でもTwitterなどでは定期的にみられる印象です。一方で少数派ながらハローワークで良い求人に縁のあった知人もいますし、今回紹介した知人のようにハローワークがある程度企業の条件面も見ている面もわかりました。
ただ、結局は求人の内容が嘘かどうかは実際入らないとわからない部分も多く入社前の段階で全部を見極めるのは難しいです。僕としては、ハローワークなどに訴えかけるのもそうですが予防策として求職者側も企業を見る目を養う方が良いかと思いました。