著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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最近ネット上で「子ども部屋おじさん」というワードを見かけました。なんでも実家暮らしの男性を揶揄するなどネガティブな意味合いで使わているようです。そういう僕も実家暮らしではありますが、今フリーランスをやっている身ではむしろ実家暮らしで良かったと思ってますし、むしろ実家暮らしはある意味最強のライフスタイルとも思っています。
今回はそんな子ども部屋おじさん(実家暮らし)を解説しつつ、メディアなどではあまり語られない実家暮らしのメリット、万能性についても触れました。
子ども部屋おじさんってどんな人?
「子ども部屋おじさん」というワード自体は学術的、公的な用語ではなく、ネットスラングで「実家暮らしの成人男性」を揶揄(ディスる)する意味合いで使われることが多いです。以前だと似たような意味で「パラサイトシングル」という言葉もありました。
また、近年のネットスラングである「子ども部屋おじさん」という言葉からも居住空間としての家が個人のライフスタイルやライフステージと大きく関連づけられていることがうかがえる。子ども部屋おじさんとは、実家の子ども部屋に住み続ける無配偶男性のことを指す言葉で、自立心や独立心のなさを揶揄する言葉である。言い換えれば、家をどのように使うかということが個人の生き方のシンボルとしてみなされているといえる。
東京大学社会科学研究所 パネル調査プロジェクトディスカッションペーパーシリーズ(7ページ)
最近「子ども部屋おじさん」という造語が、インターネットを中心に大きな話題を呼んでいます。「社会人になっても親元を離れず、実家の子ども部屋に住み続けている中年独身男性」の存在を揶揄(やゆ)するものです。
生涯結婚しない「子ども部屋おじさん」が急増
年齢の定義が曖昧ですが、30代で実家暮らしの僕もおそらく子ども部屋おじさんに該当するみたいです。中年とするところもあるので少なくとも40~50代以降は該当しそう。
なお、厳密には違いますがこの記事では実家暮らしと子ども部屋おじさんをほぼ同じものとして考えて書いています。
子ども部屋おじさんがネガティブな論調な理由やデメリット
世間一般の認識では子ども部屋おじさん(実家暮らし)の人に対する印象はネガティブなものが多いようです。以下で理由をまとめています。
親に依存している、自立していない(と見られる)
子ども部屋おじさんのような実家暮らしの場合、家事などだいたいのことは親がやってくれることも多いため本人は家事をほとんどもしくは全くやらなくて済むことが多いです。そのため
- 家事が全くできない
- 一人暮らしもやっていけない(だろう)
- つまり自立してない
みたいに見られるようです。実際30歳過ぎまで実家を出たことがなく全く家事をやらない・できない人も知人にいるので、このような人も多少はいるのは間違いないです。その点では個人的にも30年40年とずっと実家暮らしというよりは大学生の時、仕事の都合で一時的にでも多少なりとも一人暮らしの経験はあった方がいいと思います。
大学生の時の僕もそうでしたが一人暮らしをして家事をするようになると親のありがたみがよく分かるので、そこから実家暮らしに戻ったとしてもある程度親に気をつかえるようになったり、状況によっては自分で家事をする人もいます。
結局は人によるということになるため、「実家暮らし(子ども部屋おじさん)=自立していない」は少し無理があると考えられます。
家事をまったくやらないのもそれはそれで問題だと思うので、実家暮らしでも多少なりとも家事はやっておいた方がいいと思います。
恋愛・婚活で不利になる(らしい)
「こども部屋おじさん」の問題点は、本人の意識が子どもっぽいままで、一人の自立した大人としての意識が薄い事と共に、親、特に母親の過保護が問題視されています。
「子ども部屋おじさん」の婚活事情
婚活においては子ども部屋おじさん(実家暮らし)は印象が悪い傾向でマイナスからのスタートになることが多いようです。そのため子ども部屋おじさん・実家暮らしの人が結婚したいと思って婚活をするとなかなか難しい面もあるようです。もちろんすべてを親に頼りっきりの生活が長く続くとコミュニケーションに難が出るなどのリスクもあるので婚活で不利な場面も出てくることもわかります。
相手によっては親との同居を望まないこともあるので、たとえば結婚をしたら家を出るというのは視野に入れてもいいかもしれません。
また実家暮らしだとフットワークが重くなる印象もあるので、外に出て出会いを求めるようなアクションも必要ですね。
社会的に孤立しやすい
実家暮らしの場合、たとえば家に恋人や友人を連れてきづらかったりする側面もあります。また家の居心地がいいと外出する機会も少なくなることもあるようです。個人的にはあまり実感がないですが実家暮らしのデメリットでなぜかよく挙がるので世間一般の感覚としてはあるのでしょう。
僕の場合、家にWi-Fiもあって仕事は家でもできるのもあって一般的な人より外出する日や時間はかなり少ない部類だと思います。
とはいえ孤立というのは割とリスクも大きいため、孤立しないようにうまく立ち回るのも重要ではあります。僕はフリーランスですがNPO法人に所属して活動したり、コワーキングスペースによく行ったり、地域の交流会のもたまに顔を出すなどしています。
会社員の場合は会社内での人間関係もあるので完全に孤立することは少ないでしょうが、余裕があればフリーランスと同じく会社の外でも人間関係を築けると孤立を防ぐだけでなく楷書の仕事にもいい影響が出る場合もありますので、無理のない範囲で日の輪を広げましょう。
出会いの場はいろいろありますが、コワーキングスペースに行ったり交流会的なイベントに出るのが個人的にはオススメです。
親の介護や亡くなったときにどうするか?
「同僚の話です。彼は、40歳手前で塾講師をしています。実家暮らしですが、親御さんが仕事で忙しく、おばあちゃんの介護をする人がいないので実家から出られないそうです。社会的に信頼もあり収入もある立派な人なんですけどね」(接客/20代/女性)
ひとくくりにするのは危険! 子供部屋おじさんたちの事情 モデルプレス
子ども部屋おじさんと呼ばれる人の中には親や祖父母の介護でやむを得ず実家暮らしをしている人もいます。加えて特に本人が低収入の状態で親が亡くなった後にどうするか?という問題もあります。
仮に今親が健康だとしても親の方が先に亡くなる確率の方が高いため、親の健康状態の把握や介護に関することは日ごろから話し合うなどして備えておくのもいいかもしれません。
メディアの影響
子ども部屋おじさんはネガティブな意味合いで使われることが多いですが、メディアの影響もかなり大きいと考えられます。もちろんなんでも親に頼りっきりで本人は家事も何もできない状態の場合は問題ですけどね。
家事など身の回りのことはできるけどあえて実家暮らしをしてるタイプの人もひとくくりに子ども部屋おじさんとディスられることも多いことに関してはいかがものかと思っています。
あくまで個人的な考えですが、実家暮らしをする人が増えれば世帯数は減ります。そして世帯数が減れば不動産業界としては家賃収入が減ることになります。
また家電も同じく世帯数が減ればそれだけ売り上げが減るとも考えられます。
実は国や企業が金を使わせるために実家暮らしを否定し、一人暮らしを促進しているのかもしれませんね。
子ども部屋おじさん(実家暮らし)の背景
経済的な事情
昨今は物価上昇がニュースになることも多いですが、一方で給料はほとんど上がらず生活の難易度は昔より上がっています。そんな中で家賃や光熱費など大きなコストをかけてまで一人暮らしをするくらいなら実家暮らしの方がいいとある意味合理的に考える人が実家暮らしをすることが多いです。
僕もフリーランスではありますが仕事の大半がオンラインで済んだり、外で仕事をするとしても実家から通える範囲で済ませられるなど特に実家を出る理由もなく、一人暮らしをしたところで収入が増える保証もなく単にコストが大幅に増えるだけです。
このような経済的な観点で実家暮らしを選ぶ人は多いです。
昨今はいろいろとお金がかかりますからね。
親との関係が良いから
SNSでは「毒親」という言葉もよく見かけます。あくまで学術的、専門的な用語ではなく造語に近い立ち位置ですが下記のように定義されていることが多いです。
毒親とは、アメリカの専門家が提唱した概念です。過干渉や暴言・暴力などによって子どもに重圧を与えたり、親の都合を優先し、子どもをかまわなかったりする親のことだとしています。
毒親って!? 親子関係どうすれば・・・NHK
このようなヤバい親だと良い関係を築くのもかなり難しいです。
一方で毒親の逆で良い親の元だと実家暮らしであっても良い方向に回りやすいです。世間一般だと勉強のことから仕事のことまで何でも干渉してくるような親もいるそうですが、うちは幸いそのようなことも全くなく自分の好きなようにやらせてもらえてます。
逆にいえば実家暮らしが円満にできるかどうかは毒親でないなど親との関係性が非常に重要です。
昔と比べると口うるさい親が減ったのもあるかもしれません。
晩婚化・非婚化の増加
ニュースなどでも話題になりますが、最近は結婚の年齢が遅くなる晩婚化、そもそも結婚しない未婚の人が増えているようです。内閣府のデータでもはっきりと出ています。
未婚の割合は性別や年齢問わず上がっていますね。
また女性の出産する年齢も遅くなっているようで、1970年代くらいまでは20代半ばが出産の割合のピークだったのが今は30代での出生率が上がっていますし、知人で40代で出産したという人もいます。
結婚を機に実家を出る人も多いためこのような結婚や出産絡みの変化も実家暮らしと多少なりとも関係あるのかもしれません。
以下の記事では昔塾講師をやっていた経験から塾講師の恋愛事情を解説しています。
実家暮らしのメリット
一番のメリットは金銭的な負担が大幅に減る
僕は大学を出てから、29歳の時に半年間シェアハウスに移住してた時期を除くとずっと実家暮らしです。その間、会社員、ニート、フリーランスと様々な働き方やライフスタイルを経験してきましたが、実家暮らしの一番のメリットは「金銭面」だと感じています。たとえば一人暮らしをすると、
- 家賃
- 食費
- 電気代
- 水道代
- ガス代
などの固定費用が発生します。
ただこれが実家暮らしになると家賃や光熱費といった固定費がほぼゼロになります。うちは水道代、電気代は親が払ってますし、食費は朝晩は母が作ってくれるので、食費が発生するとすれば昼食くらい。ただ昼食も家にあるもので料理などすれば食費もいくらでも抑えられます。
僕は家賃(家に入れるお金)は特に親から強制はされませんでしたが、会社員の時は給料の1割(2万円)を毎月入れていました。
ボーナスをもらった時は同じく2万円をその都度家に入れてました。
家賃はシェアハウスだとアパートより安くなりますが、それでも家賃で安くても3~5万円はするので家賃が発生するだけでもかなりの痛手だったりします。特に失業中での一人暮らしは金銭面ではかなりリスクがあったりします。
家事の分担や負担の軽減
一人暮らしだと当然料理や洗濯、掃除などの家事は全部自分でやります。
ただこれが実家暮らしになると必ずしも家事を全部やる必要はありません。うちの場合は基本的に母が家事をやることが多いですがパートで家を空けることも多いため、場合によっては僕が洗濯や掃除をすることはあります。特にルールがあるわけでもないので気まぐれにやる形にはなりますが、様子を見ながらやっています。
たとえば洗濯物が溜まっていて、かつ母がパートで家を空ける時間がないタイミングだったら僕が洗濯をします。
僕も一人暮らしやシェアハウスに住んだ経験はありますが、どうしても家事の時間は意外ととるものです。これが実家暮らしになれば多少の家事などが発生するとしても1人暮らしよりは大幅に減るので、他のことにより時間を割けますね。
精神的なサポート、安心感
この点は親が毒親でないことや親との関係がそれなりに良いことが前提になります。
どうしても一人暮らしの場合は孤独を感じやすい部分もあり、精神的にも安心感を得づらいこともあります。その点実家暮らしであれば親や兄弟など誰かしらいるのでその点での安心感はあります。
また僕の場合は地域に出たときに親や弟の知人、友人と出会ったこともあったのでレアケースかもしれませんが人間関係が多少広まりやすいところもあります。
まとめ
- 実家暮らしの男性を子ども部屋おじさんと揶揄する風潮がある
- 子ども部屋おじさんが世間一般ではネガティブな印象を持たれることが多い
- 子ども部屋おじさんが発生する要因は甘えとかではなく経済的な要因や親との関係性が良い、晩婚化・非婚化が進んでいるなど様々な理由がある
- 実家暮らし自体は金銭的な負担が減る、家族のサポートが受けられるなど意外とメリットがある
子ども部屋おじさん(実家暮らし)というと良い印象を持たない人も多いみたいですが、金銭面などを合理的に考えると基本的にはメリットの方が大きいです。特に最近のご時世は働いても給料増えづらい、かつ物価上昇ということで金銭面での負担がとにかく増えているなど生活の難易度が上がっている部分もあります。
一人暮らしをしてて思うように貯金できない、支出が多いという方は実家暮らしも視野に入れるとお金の悩みが軽減するかもしれません。