著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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最近はブラック企業やパワハラといった労働問題が話題になることが増えましたよね。
ただ一方で疑問に思うのが
表に出る地方のブラック企業(労働問題)の情報って少なくないか?
出てくるのは大手企業や東京の企業ばかり。でも、地方にもブラック企業はありますし、何より僕が実際に勤めていました。
そんな状況を憂いて、今回の記事では地方のブラック企業、労働問題事情についてまとめました。
地方ほど労働問題が認知されない
茨城含め地方も問題のある企業(ブラック企業)はたくさんあります。
ただそれが浸透している感じは皆無に近いです。
各都道府県ともローカルのテレビ局(茨城県だけはないですが)や新聞局(茨城県でいうと茨城新聞や水戸経済新聞など)はあるので情報発信の手段は当然ながらあります。
でもテレビや新聞などで労働問題が発信されることは非常に少ないです。
Facebookで発信している中での体感ですが、労働問題やブラック企業に関心のある人って意外と少ないと感じています。
特に茨城県は(体感ですが)他の県と比べて
- エリート
- 起業家
- 意識高い系
には手厚い風潮があり、僕みたくそうでない人には冷たい感じはあります。
(僕の場合は周りの仕事仲間に恵まれてるのでまだ良いですが)
起業家界隈ではブラック企業問題などに目をつむっている感じもします。
僕のブラック企業座談会も開催しました
2020年の1月と2月にブラック企業・労働問題をテーマにした座談会を開催しましたが、これも何気に茨城県初の試みだったので、少なくとも茨城県内については労働問題について共有する場所はほぼ皆無です。
この辺は僕から何かしらの場を今後も提供できればと思います。
僕のブラック企業経験談
学習塾。残業代ゼロ、長時間労働
正社員の塾講師でした。
僕が勤務したところに限らず、業界全体としてブラック企業の要素は非常に多いです。
そのため僕の会社云々というより、塾業界の現状として捉えてもらえたら幸いです。
月100時間に迫る残業時間
僕は23歳から27歳まで4年間塾講師として働いていました。
塾の仕事自体は適性はまあまああったり、生徒と接することは純粋に楽しいと思えたのですが、ネックだったのが長時間労働と休みの少なさ。
入社当時はまだそこまででもなく、残業も許容範囲内で休みも100日くらいはありました。
ただ入社2年目あたりからシステムなどいろいろ変わったことがあり、そこから一気に残業が増え休みが減少。
残業に関しては最近覚えている範囲でざっくり1か月間の残業時間を計算しましたが、月80時間くらい残業をしていました。
ちなみに厚生労働省で定める『過労死ライン』の残業時間がちょうど月80時間だそうです。
僕は俗にいう平社員だったので、まだマシな方で教室長などある程度出世した方は僕以上の残業をしている方がほとんどで、下手すると1か月で100時間以上の残業をしていた可能性が高いです。ただし残業代は1円も出ませんでした。当時の給料の内訳も、
- 基本給
- 交通費
だけと良くも悪くも非常にシンプル。
(ボーナスはちゃんと出ました)
残業手当や早出手当といった「○○手当」みたいなものはいくら働こうが一切ありませんでした。
年間休日の減少と体調の悪化
休みは1年目は年間で105日くらいだったのですが、3年目から一気に減って70~80日くらいでした。
就業規則には日数は明記されていませんでしたが、夏季休暇の日数、祝祭日は休みなどは明記されてたのでそれを考えるとやはり100日前後には落ち着くはず。
そんな状態なので当然体調も崩しました。
- 塾の前にやってた派遣事務時代に発症した過敏性腸症候群、胃腸炎を再発
- 自律神経が壊れる
などで辞めるまで通院し毎日薬を服用する状態でした。
塾を辞めてからはこれらの症状はあまり出なくなりましたが、今でもストレスが溜まると症状が再発するなどで体調崩しやすくはなっています。
そのため、今はストレスや体調管理には人一倍気を使っています。
胃腸は明らかに弱くなったようで、ちょっと食べすぎただけですぐおなか下します…。
農業。人格否定されて入社3週間でクビ
そんな塾講師を辞めて転職したのが地元の農業法人でした。なぜ農業かというと僕が大学の農学部を出てたのと自然に興味がわいたという理由でした。そんな農業ですが、入社してわずか3週間でクビを宣告されました。
百歩譲ってただクビになるだけならまだ良かったのかもしれませんが、なによりショックだったのがクビになるときに社長に「おまえは価値のない人間だ!」などと人格否定の言葉を30分浴びせ続けられたこと。この精神的なダメージは非常に大きく、その後の転職活動に気力がまったくわかないくらいでした。
地方で働くのが不便な点
テレワークが進んでない
2020年以降、コロナウイルスの流行にともなって『テレワーク(在宅勤務)』という形態が出てきました。コロナウイルス感染のリスクを抑えるのはもちろんですが、シンプルに新しい働き方としても良さそうですよね。
ただし、茨城などの地方ではコロナウイルスが流行ってからも、テレワークが定着している感じはあまりないです。強いて言えば、つくば方面のIT企業が進んでいる程度で水戸の企業とかはさっぱりです…。
茨城県内の企業で言うと、日立製作所が先駆けてテレワークを始めたようです。今後このような企業が増えるのを期待したいです。
車がない・運転できない人は地方の就職はやめておけ
茨城県は、
- 車の免許所持必須(たまにマニュアル免許必須な会社もある)
- 車所持、マイカー通勤必須
みたいに就職にあたって車所持もしくは免許保持が必須な会社が非常に多いです。
茨城県に関しては「車が無くても大丈夫」な求人はあまり見たことないです。
僕が今まで働いた会社の車事情は以下の通り。
- 建設会社(派遣事務)⇒入社するにあたっては免許保持くらいで良かったが、ゆくゆくは銀行や現場などに行くために会社の車を使う。(AT限定でもOK)
- 学習塾⇒免許・マイカー必須。仕事が深夜までかかる関係でバスや電車が無いのと教室自体が田舎の方になると車しか行く手段がない
- 農業法人⇒会社が駅から遠く車でないと通勤ができない。仕事で軽トラを運転するためマニュアル免許必須
ちなみに僕は学習塾を辞めた時はAT車限定免許だったので、農業法人に転職するにあたって教習所で6万円かけてマニュアル免許も取得(限定解除)しました。
- 車を持つつもりはない
- 車の運転が怖い
という方は地方での就職は止めた方が良いです。もし僕が車が運転できない事情があったら、茨城県へのUターン就職はあきらめていたでしょう。
車関係のコストが高い
また、仕事を抜きに考えても車はコストがかなりかかります。
- 車の購入(僕の中古のフィットで60万円。新車だと100万円を超えることも)
- ガソリン代(走行距離によるが月数千円~1万円くらい)
- 保険代(僕は年間4万円くらい)
- 車検代(2年に1回実施。1回で10万~20万円かかる)
- その他不備があれば部品交換、修理(ものによっては数千円~数万円かかることも)
などお金がかかりますし、決して安い額でもありません。
メリット3 生活コストが低い
U・Iターン就職のメリット・デメリット マイナビ2021
暮らす場所にもよりますが、地方は大都市より生活コストが低い場合が多いです。光熱費や物価はそれほど変わらなくても、家賃は大きく違います。東京23区と地方都市では倍以上の差があるといわれています。一人暮らしをする人は、検討しておくべき重要な問題です。
就職・転職サイトではこのように「地方は生活コストが低い」ということが強調されることも多いですが、半分間違いです。
確かに地方の方が家賃が安いこともありますが言うほど大差があるわけでもないですし、結局車のコストを考えればトータルは都会も地方も変わりません。
むしろ下手すると、家賃次第では都会の方が低コストになる可能性が高いです。
例外としては僕みたく地方で実家暮らしのパターンだとまあまあコストは削減できます。実家だと家賃がゼロですし、食費も大幅にカットできます。
とはいえ車関係の出費は避けては通れません。
地方のブラック企業事情をこれからも発信します
- 地方ではブラック企業があまり問題にならない、認知されない(ブラック企業が多すぎて感覚がマヒしてる?)
- 昔からの慣習が色濃く残っている地域や会社も多く、その名残で労働問題やパワハラなどが悪いという認識がない
- 都道府県にもよるが少なくとも茨城県ではテレワークが進んでいない
- 就職しようにも車所持が必須条件な会社がかなり多い。車を持ってない、運転が怖いという方は地方での就職はオススメしない
東京などの都会にももちろんブラック企業など労働問題はありますが、地方にもブラック企業はあります。
なにより地方はどうしても魅力度ランキングに代表されるように、それぞれの『良いところだけ』をアピールしがちです。
もちろん地域振興・地方創生の観点としては必要ですが、ブラック企業も含めて悪いところや現実に立ち向かう必要もあります。
より細かい個別のブラック企業の事案を以下の記事まとめました!