著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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ブラック企業研究家の長池です。
僕はブラック企業3社に勤めた経験があったり、最近は茨城県内のブラック企業の情報をいただいていました。おかげさまで30社以上の茨城県内のブラック企業の情報をいただくことができました。
今回はその中から一部を抜粋して、ブラック企業であった事案やパターンを紹介します。
僕のブラック企業体験談
まずは僕の元勤務先のブラックさを簡略にまとめました。
の3つを紹介しています。
上司の圧でうつ病寸前に
僕の初めての就職先でした。建設会社の事務職でしたが、初日からできないことに対してめちゃくちゃ詰められました。
ちなみに学生時代に事務のバイトは未経験でした。
これが初日から始まり、勤務日はほぼ毎日圧をかけられたもので入社1か月でストレス性の過敏性腸症候群を発症し1週間で2回も会社を休んだくらいでした。薬で症状を抑えようとしましたがストレス溜まる速度がそれ以上に早く、入社2か月手前のころにはより重症化し、当時通ってた病院からもうつ病を疑われ精神科を紹介されたくらいでした。
当時の自分でもヤバいと思い辞めました。
長時間労働と過労死ラインの残業で体を壊す
その後転職した学習塾。塾は先述の建設会社とは対照的に上司は良い方ばかりでパワハラ的なことはありませんでした。
ただ、問題だったのが常態化していた『長時間労働』と『残業』。休みも少なく入社1年目こそ年間休日が100日ちょっとありましたが、3年目以降は年間休日が減り80日くらい。
そのうえ不定期に休日出勤が発生したり、時期によっては過労死ラインの残業もあり、先述の事務で患った過敏性腸症候群を再発したくらいでした。一番ひどかったときはドクターストップがかかったくらいでしたが、休める状況でもなかったため無理やり出勤しました。
存在価値を否定された
その後農業へ転職。
大学も農学部でしたし、自然にかかわる仕事をしたいのもあっての転職でした。ただ、社長が面接からやけに高圧的なのが気がかりと思いつつの入社で、入社したら建設と同じパターンで初日から技術的なことに関してかなり詰められました。
入社10日後くらいには当時入社半年くらいだった技能実習生と作業のスピードを社長命令で競わされ、当然のごとく敗北しめちゃくちゃ詰められました。そして、入社3週間で社長からクビを宣告。
加えて社員が仕事している事務所で社員にも聞こえる形で30分間人格否定の説教を受け続け僕の心は完全に折られてしまいました…。
情報をいただいたブラック企業体験談
ここからは知人などからいただいたブラック企業の体験談を抜粋して紹介しています。
一部会社の特定などを避けるためぼかしましたが、あった事案はなるべくそのまま書きました。
面接で身の危険を感じた
体育会系色が強くパワハラがけっこうありそう。面接の圧がすごい
僕が昔選考を受けた会社です。
面接場所の本社につき、事務所に入ったら仕事をしていた数人の社員が一斉に立ち上がり「こんにちはー!」と大声であいさつをしてきました。その時点でなんとなく圧を感じましたが、面接をしてて面接官の圧力みたいのを感じました。
面接は「覇気が感じられなかった」という理由でいったん落ちました。ただ、
次に進む意思があるならいいよ
と上から目線で言われ、前職で上司のパワハラに遭いうつ病寸前になった経験があった後だったので身の危険を感じ面接は辞退しました。
新卒~既卒まで数十社の選考を受けましたが、選考を辞退したのはここが唯一です…。
求人票が嘘だった+強烈な体育会系
年間休日120日以上と謳いながら10から20連勤などザラ。
飛び込み営業あり(当時)そもそも住宅という一世一代の買い物にノルマがある時点でおかしいが、営業成績悪いとボロカス言われる。また、酒の付き合いで夜中まで飲み睡眠時間2,3時間などもある。
元々求人票では年間休日120日以上と好条件だったそうですが、いざ入ったら10連勤、20連勤があったそう。
加えて飲み会もバンバンやってしかも夜中までということで、ただでさえ休みが少ないのにこれはつらいですね。
絶対に労基署がくる年間休日
年間休日50日しかなく、労基の指導が入ったことがある
シンプルな事案ですが、実際にあったそうです。年間休日50日となるとすべての週で週休1日となりますね。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
労働基準法第32条
労働基準法では労働時間が「1日8時間以内」「週40時間以内」と定められているため、これを遵守すると年間休日は100日は超えるはずなんですが。
年間休日自体は法律で定められていませんが、特に年間100日を切ると労働時間の観点から法律に抵触する可能性が高いです。
あらゆる部分がひどい
- 正社員の突然死が後を絶たない
- 女性へのハラスメントひどく妊娠出産への圧力
- 有給取得もままならない
- コンプライアンス体制が形骸化、通報しても無意味
こちらは情報をくれた方が丁寧にまとめてくれたので非常にありがたかったですが、ブラックな要素がかなり多く今まで情報をいただいたブラック企業の中でもおそらく1番ひどいと個人的に思いました。
僕が情報をいただいた30社以上の中でも死者が出てる数少ない例ということで、ブラックの度合いがかなり強めです。
ちなみに過去の新聞など調べましたが、この会社の突然死(過労死)関係は一切報道されていませんでした。
働いている人がヤバい
- 働いてる人らがDQNばかり
- バカ・ボケ・カス・死ねの罵倒あり
- 毎日残業4時間や早出もあり
働いてる人の人柄や様子などは求人票などを見てもわからないので、このパターンは厄介ですね。しかもこの会社は零細企業でホームページなどもなかったので、情報収集が困難です。
ホームページがない以上、入社前の情報集が難しいため会社の内部が事前に分かりにくい。
セクハラを相談しても…(女性)
飲み会で男性上司に手を握られる。
女性の先輩に相談したが「仕方ない」と言われた。
特に女性が受けるセクハラは男性上司への相談はしづらく、女性の先輩や上司を頼りたいところですが一蹴されたそうです。女性が被害を受ける場合、同じ女性の方が味方になりやすいはずですが…。
セクハラを会社や上司が容認・黙認していることもありますね。
休職して戻ったら雇用形態が勝手に変えられていた
正社員なのに雇用保険未加入。雇用契約書もなかった。
休職して戻ってきたら正社員からパートになってた。
雇用形態が変わっていたというのはなかなか珍しいパターンでしたね。
雇用保険の適用事業所に雇用される次の労働条件のいずれにも該当する労働者の方は、原則として全て被保険者となります。
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあることまた、パートやアルバイトなど雇用形態や、事業主や労働者からの加入希望の有無にかかわらず、要件に該当すれば加入する必要があります。(季節的に一定期間のみ雇用される方など、一部被保険者とならない場合があります)
Q&A~事業主の皆様へ~|厚生労働省
雇用保険はこのように定められており正社員は雇用保険への加入が実質必須です。またパートやアルバイトでも労働時間が基準以上なら加入の必要があるため、短時間の労働な一部を除いてほとんどの人は雇用保険に加入することになります。
ちなみに雇用形態を勝手に変えるのもNG。
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
労働契約法第9条・10条
会社と話し合ったうえで変えるのは問題ないですが、一方的に変えるのはダメですね。
ブラック企業に困ったときの相談先
労働基準監督署・労働局
労働局とは、厚生労働省管轄下にあり、労働基準監督署の上部組織にあたります。
※組織的には、上から、労働基準局 > 労働局 >労働基準監督署労働局は、各都道府県や地方に複数存在します。
労働局と労働基準監督署との違いはなんですか?|ベリーベスト法律事務所
労働者からの相談の受付を行っており、企業側と労働者との間に労働トラブルが発生した場合、解決のために必要な助言や指導、あっせんを行うことが、主な役割です。
公共の期間に労働関係の相談をするとなると主に労働基準監督署になります。
- 労働者へのアドバイス
- 企業に対する調査
- 企業への是正勧告
など上手くいけば企業に対して何らかの働きかけをしてくれることもあります。労働基準監督署は各都道府県に数か所(茨城県は8か所)はあるので、困ったら最寄りの労働基準監督署に相談しましょう。
相談の際はパワハラを受けている時の音声、タイムカードなど証拠になりそうなものがあると話が進みやすいです。
ある程度大きい企業になると社内に相談窓口を設けている場合があり、ハラスメントなどを相談することができるようです。
ただし僕も7年ほど労働問題の相談を受けたり事案を見てきましたが社内の相談窓口がちゃんと機能して、加害者に注意、指導したなどの話はほとんど聞いたことがありません。それどころか加害者側に情報が漏れて、よりひどくなったことも多々あるため社内の人・窓口への相談は慎重になったほうがいいです。
相談は労働基準監督署など外部に頼ったほうが無難ですね。
退職代行
特に辞めたくても辞められない場合、最後の手段になりますが退職代行を使うのも手です。
ここ最近、「退職代行サービス」をよく耳にするようになった。先行したEXIT社の「EXIT」というサービスを皮切りに、合同会社ゼロの「SARABA」や、ウラノス法律事務所の「ウラノスの退職代行」といった競合サービスが乱立している。
簡単にサービス内容を説明すると、退職希望がありながら退職できないユーザーに対して、退職手続きをアドバイスし、退職の連絡を本人に代わって行うというものだ。
「退職代行サービス」が続々生まれる深刻理由|東洋経済オンライン
僕が塾を辞めた2016年はまだありませんでしたが、ここ数年で急激に増えているようです。ひどいブラック企業になると辞めたいと申し出たり退職願を出しても拒否したり辞めたい人に対して嫌がらせをすることもあり、そのようなときに退職代行を使うケースがあります。
退職代行の業者は増えており選定に少し困るところもありますが、EXITなどの有名どころはもちろん弁護士がしていてるところや女性であれば女性専門の退職代行もあるので、自分に合いそうな業者を選ぶといいですね。
僕が会社を辞めたころはまだ退職代行がなかったですが、当時もし辞めることが難しかったらぜひ使いたかったですね。
友人など外部の人への相談
特に専門家ではないですが意外とオススメです。
- 仲がいい
- 付き合いが長い
といった条件付きですが、仕事に関係ない友人ほど安心感があったり意外と的を射た発言をしてくれることが多いです。僕は高校の時の先輩や先生に相談していましたが、
- 転職経験が豊富
- キャリア関係に非常に詳しい
という方々だったのでかなり助けられました。ちなみに僕も数年、ブラック企業で悩んでいる人などの相談を受けてきましたが、詰みかけてる人の多くが相談できる友人がいないことが多いので、「持つべきものは友」なんて言葉もありますが、それをつくづく実感します。
まとめ
- ブラック企業のパターンは様々
- 主なパターンは「年間休日が異常に少ない」「ハラスメント」「社内のコンプライアンスが崩壊している」など
- ブラック企業に困っている場合は労働基準監督署・労働局という公的機関を頼れる
- 辞めたいけどどうしても辞められない場合は退職代行も視野に入れよう
- 安心感を得る意味でも学生時代の友人など、社外に頼れる友人・知人を作っておこう
今回は今までいただいた茨城県内のブラック企業情報から数件をピックアップし、まとめました。休日の少なさからハラスメント、コンプライアンスなど様々なパターンのブラック企業がありました。
特に現在ブラック企業にお勤めの方は同じパターンの会社があったでしょうか?労働基準監督署や退職代行など今はできることもあります。自らのブラック企業の脱出はもちろん、友人・知人でブラック企業に苦しんでいている人がいたらぜひ対処法など教えてあげてください。
今回紹介したブラック企業含め茨城県内30社以上のブラック企業を別記事でデータを集計・考察しました。
そちらもぜひご覧ください。