著者:長池涼太(ブラック企業研究家)
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無職などのように会社を辞めて離職している状態って日本ではネガティブにとらえがちですよね。そんな中で『キャリアブレイク』という考え方があります。
いわゆる無職や離職期間に近いもので、キャリアブレイクを通じて自分に合う働き方や生き方を見いだせた人もいます。実は僕も2年間ほど無職(ニート)だった期間がありますが、今考えるとそれもキャリアブレイクだったと解釈しています。
今は僕もフリーランスですが、2年のキャリアブレイクがあったからこそ今の自分があったと思っています。そんなこともあり、キャリアブレイクという考え方を一人でも多くの人に知ってもらいたいと思い、今回はキャリアブレイクの解説は僕のキャリアブレイク経験談を書きました。
キャリアブレイクとは

キャリアブレイクは「離職・休職などを通じて一時的に雇用から離れ、人生と社会を見つめ直す期間」のことを指します。造語ではなく、欧州では一般的な文化で、旅、留学、自主的な挑戦、勉強やトレーニング、休養、療養、出産、子育て、家族のケアなど、過ごし方は様々です。
キャリアブレイク研究所
いわゆる「離職期間」に近い意味で、会社・労働から離れて自分を見つめ直すという意味合いです。離職という意味では『無職』に近いイメージですが、無職の中には勤労意欲のないニートから不労所得で食べている「FIRE」という状態など様々な状態があり、その中の一つがキャリアブレイクという位置づけにされています。
ただ、「無職」という大きな世界の中には、労働意欲のない「ニート」もいれば、不労所得で暮らす「FIRE」を目指す人など、さまざまなカテゴリーが存在しています。
そうしたカテゴリーの一つが、その期間を良い転機にしようとする「キャリアブレイク」だと捉えています。
キャリアブレイクの目的は人それぞれで、いつかは働く気持ちがあっても、今は充電期間として仕事から離れている人や、ずっとやりたかったことに取り組む人もいます。「無職」という総称からは見えてこない、さまざまな意図や過ごし方があるのです。
「無職」を機に人生に向き合う。離職・休職期間=無価値じゃない。仕事観を整える「キャリアブレイク」の意義
無職というと「仕事がない」「弱者」みたいなイメージを持つ方も多いですが、キャリアブレイクは、次の道に向かうための充電期間だったり、スキル・資格取得のために様々な鍛錬を積んでいるという意味では決してネガティブなワードではないです。

キャリアブレイクも無職のくくりには入りますが、無職というワードだけが独り歩きしてネガティブな印象を持たれることもあるかもしれません。
キャリアブレイクのメリット
キャリアについてじっくり考えられる
キャリアブレイクをすることで大きいのが時間がたっぷりできること。会社の仕事などで忙しいとキャリアなどをじっくり考えることが意外とできないですが、キャリアブレイクをして時間ができることで自分自身についていろいろと考えやすくなります。
特に長時間労働などで忙しい状態が常態化すると、物事を考えなくなることも多いため本当の意味でじっくり考えるためにも時間はたっぷりほしいところです。
新しい業界・職種に向けての準備
僕は建設会社から塾講師、塾講師から農業への転職と異業種への転職を繰り返してきました。業界や職種が変わると、それまでの知識やスキルなどが使えないことも多いため、新たに学び直しをすることも多くなります。
お金のことを考えると前の会社に在籍しているうちに勉強をして次の転職先まで決まるのがベストでしょうが、実際はけっこう難しいです。そのためキャリアブレイクなど時間をたっぷりとることで、異業種など違うフィールドへの挑戦もしやすくなります。

僕が転職活動をしていた2016年ごろは「20代なら異業種への転職もあまり問題ではないけど、30代になるとハードルが上がる」とハローワークの職員から言われました。
実際、異業種へ転職する方も多くが20代など若い印象です。
自己投資に費やせる
そしてこのように時間が空くことで様々な自己投資へも時間やお金を費やしやすくなります。たとえば「海外に行きたい」という場合、会社にいると連休を使うか有給をたっぷり使うなどしなければいけませんが、キャリアブレイク中であればいつでも行けます。
僕の場合、キャリアブレイク中はスキルというよりは都内などいろんな場所に行っていろんな人に出会ってきましたが、これも休みが少ない会社員時代では非常に困難でした。会社にいるからできることももちろんありますが、それ以上に会社を辞めた(キャリアブレイク中)だからこそできることもたくさんあるのです。

都内で開催されていたブロガー関係のイベントにはたくさん行きました。イベント参加料金、泊りがけで行った時の宿泊代などかなりのお金を使いましたが、そこで培った知見は今につながっているので良い自己投資だったと思います。
ストレス軽減・体力回復
特に僕のようにブラック企業で心身がボロボロになった人は、すぐに転職するよりも少し間を空けることもオススメです。心身の状態が万全でない中で転職活動をして次が決まったとしても力が発揮できないどころかより体調等が悪化するリスクもあります。
僕自身も塾講師時代の長時間労働で胃腸などを壊しましたが、数年~10年たっても影響は少なからず残っていると感じます。特にストレスに関わるものは年単位での影響が残ることが多いため焦りは禁物です。

転職活動を焦りながらやっても自分に合う会社には入りづらいですからね。
キャリアブレイクのデメリット
周りとの比較による焦りと不安
キャリアブレイクをすると会社から離れることになるため、まわりと比べてしまうとどうしても自分が遅れを取っている感覚に陥りやすいです。
たとえば20代後半から30歳くらいになると会社において昇進・出世をしだす人もいますし、プライベートでも結婚して子どもができるなんて人も出てきます。FacebookやInstagramで学生時代の同級生とつながっていると、この手の投稿がどうしても目に入るのでまわりの人を意識したり、無意識に比較してしまうこともあります。
自分では考えてキャリアブレイクをしていても、特に人のことを気にしやすいタイプの人はこの点は少し辛いかもしれません。
経済的な不安
キャリアブレイクは会社に属さない形となるため、会社からの給料もなくなります。会社員の場合、副業などをやっていなければ収入はほぼゼロになるため、経済的な不安が出ることも多いです。
会社を離れることで発生するお金やより重くのしかかるお金もありたとえば、
- 健康保険料(会社の健康保険から国民健康保険に変わる)
- 年金(厚生年金から国民年金に変わる)
- 住民税
- 奨学金の返済
などがあります。
ただ、手続きをすれば支払い・返還の猶予や減額等はできるものもあるためやり方を確認したうえで、必要に応じて手続きをしましょう。

可能であれば会社を辞める前の段階で貯金を頑張っておくのがオススメです。
面接などで空白期間の説明が必要
キャリアブレイクを経て面接を受ける場合、かなりの確率で「空白期間の説明」を求められる場合もあります。これは空白期間が発生する以上は、転職活動においてほぼ避けられないです。
実は僕も2022年の年末に転職サイトのIndeedを介してマーケティング系の仕事に応募、面接を受けたこともありましたが、その時も会社員を辞めてから6年以上たっていたので面接でも何をやっていたかは聞かれました。
僕としてはブログのことやフリーランスになってからのことを一通り説明したので、それ以上追及されることはなかったですが、このことからも空白期間の説明は必須と考えた方がいいです。仮に大きなことを成し遂げていなくても、例えば資格試験の勉強中であったり、ボランティアなど日々やっている活動を説明できるだけも印象は違います。

個人的にはボランティアはハードルが低いのでオススメです。
周囲からのプレッシャー
人にもよりますが、周りに古い考えの人が多いような環境だとキャリアブレイクそのものを理解されなかったり、会社から離れている状態なだけでも批判してくる人もいます。さすがにこういう人を論破するというのも疲れるので、個人的には距離を取るのが最善策だと思います。
また、離職やキャリアブレイクに対して批判的な人の中にはそもそも離職やキャリアブレイクなどを経験したことがない人も多いため、批判自体に根拠や説得力がないことも多いです。万が一経験者であれば聞く価値はあるかもしれませんが、そうでなければ周りから批判やプレッシャーがあったとしても聞き流すくらいがいいでしょう。

キャリアブレイクや転職経験などが豊富な人はキャリアブレイクに対して批判的な見方をする人は少ないと思う。
30代手前でキャリアブレイクを実施
パワハラを受けて会社をクビになった
僕は27歳の時に4年勤めた塾講師を辞めて、念願だった農業(農業法人)への転職を果たしました。元々農業含め自然にかかわる仕事をしたいという思いはあったので当時の僕には願ってもないような仕事でしたが、初日から社長や上司のあたりが非常に強く、入社して3週間後には社長にパワハラを受けた上にクビになりました。
社長に30分ぶっ続けで人格否定された末に「おまえは価値のない人間だ!」と言われるなどして、社員がしている目の前でクビを宣告されました。
人格否定を受けたことで完全に心が折られ、その後の転職活動にも身が入らないくらいメンタルがやられてしまいました。

農業法人の社長に言われた「おまえは価値のない人間だ!」という発言。当時の僕には非常にダメージが大きかったです。
そこから約2年間無職
塾講師の時の失業手当がもらえる可能性があったため、農業でメンタルブレイクはされたものの形上だけでもハローワークで主に職業相談などをすることで形式上は転職活動も一応はしていました。
ただちょっといい求人があっても、それ以上に農業法人の社長に言われた「おまえは価値のない人間だ!」という発言がトラウマで応募などができませんでした。言ってしまえば働くこと自体がトラウマになってしまった感じです。
そこから約2年無職になるわけですが、2年間何もしなかったわけでなく、当ブログを立ち上げブロガーになったり、都内のイベントに出向きたくさんの人と出会ったり、半年間シェアハウスに移住するなどある意味会社員時代以上に濃い時間を過ごしました。
バイトをワンクッションとして挟んだ
ブロガーになったりシェアハウスに移住するなど濃い2年間を過ごしてきましたが、それでもフリーランスになろうという思いはそこまでありませんでした。それ以上に塾講師時代に貯めていた貯金が底をつきそうだったので、Facebookで「仕事ください!」と募集しました。
その際、偶然が重なり最終的に学生時代の同級生の下で運転代行のバイトをやることになりました。

このような形で改めて人の縁の偉大さを感じた出来事でした。当時はバイトを週3日、ブログは適宜更新しブログでも収益を出すというスタイルを確立し、会社員時代ほどの稼ぎはないにしてもかなりバランスのいい生活をできていたと思います。
最終的にフリーランスに転身した
そうして2年の無職期間、約1年のアルバイト生活を経て、会社をクビになって3年後にフリーランスになりました。ただ、元々自分がフリーランスになる、なろうと思ったことはほとんどありませんでした。周りのフリーランスを見てきて大変さも実感してたので、僕には無理だろうと。
とはいえ、運転代行のバイトが終わる段階で30歳になっており、今から正攻法の転職活動も難しい感じもしたり、2年間の無職の説明をするのが難しかったり、面倒に感じてきたのもあり消去法的な形でフリーランスになったところはあります。同時にブログの収益も上がってきて、確定申告等を考えると立場上ちゃんとフリーランス(個人事業主)になっておいた方が良いだろうとも思いました。
まとめ
- キャリアブレイクとは「離職・休職などを通じて一時的に雇用から離れ、人生と社会を見つめ直す期間」のこと
- キャリアブレイクをすることで時間がたっぷりとれるのでその間に休息したり、スキルアップしたりなど様々なことに有効活用できる
- 立場上無職にはなるため、まわりの人を気にしすぎるとその比較でメンタル的に疲れやすいこともある
- 収入が少なくなるもしくはなくなるため、キャリアブレイクをむかえる前に貯金を頑張るなど金銭面の対策は必須
まずは今回の記事を通じて「キャリアブレイク」という考え方を知っていただければと思います。
キャリアブレイクなどのような離職期間は必ずしも悪いことではありません。海外留学、資格取得などキャリアブレイクをしている時だからこそできる、やりやすいこともたくさんあります。
キャリアブレイクもぜひ自身のキャリア構築やより良い人生を作るための手段として知っていただければと思います。